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震災直後の国道171号・門戸厄神駅周辺
写真提供:国土交通省兵庫国道事務所
道子「いやーーーっ!!お母さん、お母さーーん!!(泣)」
幸男「道子、どないした!」
道子「ぁ、あれ、見て。ショッピングセンター…」
幸男「うわーっ、ひどいなあ。1階が完全に潰れてるわ。上から落ちてきた2階が1階になってるがな」
道子「このショッピングセンター、お母さん、毎日来てたんよ。潰れた時、いてたんちゃうやろか。ちょっと見に行かな!」
幸男「道子、まあ落ちつけ!大丈夫や、ここのションピングセンターでは、多分、誰も亡くなってへんあの時計、見てみいな。5時46分で止まってるやろ」
道子「あれは、入口にあった時計台の時計や」
幸男「あの時間に止まってるいうことは、まだ開店してへん時につぶれたちゅうことや。そやから、大丈夫や」
道子「はーっ(安心したため息)…けど、何や悪い予感がする。171 号線に入って、こっちの方は被害が少なかったんやて安心したのに、この周り、ゴジラが踏んだみたいにめちゃめちゃや。門戸厄神からここへ来るまでに、新幹線の高架も崩れてたやんか。あんな最先端のものが壊れるんやから、お母さんが住んでた古いアパートなんか、建ってるはずないわ」
幸男「そうはいい言いきれへんて。あそこの大家さん、言うてたやんか。築20年の古い建もんやけど、鉄骨を打ち込んで丈夫に建ててるて。覚えてるやろ?」
道子「う、うん」
幸男「さあ、ほよ行こ。ペダル漕いで。よいしょ、よいしょ。おお、道子、見てみい、あるであるで、ちゃんと建ってるで」
道子「ほんまや。お母さん!」
幸男「(先に行かれてしまい)おおーい、ちょっと待てや」
*アパートの階段を駆け上がる道子
道子「はっ、はっ、はっ、はっ…」
*ドアの鍵を開けて入る道子
道子「お母さん!お母さん!」
幸男「はっ、はっ、はっ。おい、どや」
道子「居てへん。どこにも居てへん」
幸男「ほんまやな。けど、えらい奇麗に片づいてるな」
道子「一体、どないなってるんやろ」
幸男「なあ、寝室、見てみろや。タンスやドレッサーは倒れたままや。お母さん、大丈夫やで」
道子「えっ、どういうこと?」
幸男「大きなもんは直せんかったけど、あとのもんは全部、自分で片付けはったんや」
道子「そやろか。あ、置き手紙や」
幸男「ほんまや」
道子「『母は無事。食料と水を買い出しに行く』、やて」
幸男「やっぱり大丈夫や。よかったな。これで、一安心やな」
道子「うん、ありがとう(目頭が熱くなる感じ)」
幸男「ちょっと座って休もや。な」
道子「うん」
*2人、寄り添う合う
道子「あったかい、幸男さん」
幸男「4階まで階段駆け上がって、汗かいたわ。息もきれたし」
道子「私も足ガクガク。65才のお母さんが、1人、ここで頑張ってるいうのに、私はあかんな」
幸男「今度はお前が頑張る番や。9才の娘の母親として頑張らな」
道子「疲れてる場合ちゃうな」
幸男「30分ほど待ってみて、お母さん、戻ってきはらへんかったら、今日のところは引き上げよか」
道子「そやな。私らも、5人分の食料と水、何とかせなあかんもんな」