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   悲恋の舞台

 

千手観音像と里帰りした釣り鐘

 国道371号から425号や424号などを通り、和歌山県川辺町に来ました。日高川沿いに源流から河口近くまで下ったことになります。御坊市との境界近くにある道成寺は、安珍・清姫の物語で知られ、最近では釣り鐘のことも報道されています。副住職の小野俊成(しゅんじょう)さんに伺いました。
 本堂に千手観音があり、その前に釣り鐘が安置されています。
「京都の妙満寺に420年間預かってもらっていた釣り鐘が一時里帰りしています。歌舞伎や能では清姫の恨みのこもった鐘とされますが、山寺にふさわしく小ぶりの鐘です。安珍が隠れたのは初代の釣り鐘で、千年前、安珍と清姫の事件で焼けました。この鐘はその400年後に作られた二代目です。ただ、事件が有名になったりして、豊臣秀吉の軍勢が通りがかった時に、戦利品として持っていきました。その後、妙満寺に預けられていたんですが、熊野街道の世界遺産登録や、来年行われる33年に一度の秘仏ご開帳のプレイベントのためお帰りいただきました」

安珍塚
 絵巻で寺の歴史を説く絵とき説法があるんですね。
「安珍と清姫の物語を描いた約600年前の『道成寺縁起』絵巻の写しを使い、毎日7〜8回絵ときをします。道成寺は701年建立の和歌山県最古の寺で、このあたりに生まれた髪のない女の子が、観音様を拝むうちに『かみなが姫』と呼ばれる美人に成長し、文武天皇のお妃に選ばれました。そのご恩返しに建てられたのが道成寺です。その200年後、清姫という女性が、安珍というお坊さんを60km追いかけてここで殺した話が有名になり、絵巻物になり、さらには歌舞伎や能になって、道成寺は悲恋物語、釣り鐘の寺というイメージになりました。清姫が放火して安珍と無理心中したのでしょう。鐘は焼き入れがしてあるので火で音が変わりますが、当時の人はたたりで変わったと思ったでしょうね。鐘は安珍とともに葬られ、今も『安珍塚』に埋められています。上に生える木が清姫の恨みでねじれたといわれています」

  道成寺には多くの文化財があります。
「宝仏殿には国宝の本尊など20体ほどの仏像が、縁起堂には絵巻、歌舞伎の衣装、能楽の絵などが展示されています。本尊は730〜40年に作られた日本最初か2番目の千手観音です。ご開帳は来年3月26日〜月27日の33日間で、自分にとって本当に大切な人とお参りすると、33年後にもまた一緒に来られるといわれています。ぜひカップルや家族で来てください」




   道成寺
  ■拝観時間/8:00〜17:00
    *時間外でも境内での拝観可能
  ■宝仏殿拝観料/中学生以上500 円、
              小学生250 円
            *絵とき説法含む
 ■釣り鐘特別公開/2004年11月27日まで 
             *無料
 ■TEL/0738-22-0543


秘湯の龍神温泉を訪ね、道成寺では里帰りした釣り鐘を見ました。高野龍神スカイラインの紅葉、温泉、そして道成寺へとロングドライブを堪能しました。