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古代ロマン薫る「山の辺の道」を行く
 今回もまた道を歩きます。日本最初の道といわれる「山の辺の道」です。この道は、奈良県を南北に走り、今の奈良市から天理市辺りを通り桜井市までを結ぶ道ともいわれていますが、ルートについては諸説あります。いずれにせよ、風情は楽しめそうです。とにかく、歩きましょう。



  「海石榴市跡」から出発  <山の辺の道の地図はこちら>
 

海柘榴市の山の辺の道


 
 桜井市金屋にある、古代の市「海柘榴市(つばいち)」跡に来ました。海柘榴市近辺は万葉集に、「海柘榴市の八十(やそ)の衢(ちまた)」と歌われたました。「衢」は道のこと、古代の交通の要衝だったわけです。多くの道が延び、東は伊勢、南西は飛鳥、西は難波(なにわ)へ向かいました。洪水で流されて確かな跡は分かりませんが、金屋周辺と推定されています。ここから北へ、いよいよ山の辺の道をたどります。


   三輪山が本殿  
 


大神神社

 海柘榴市跡から北へ1・5km、金屋の石仏を過ぎ、三輪山が控える大神(おおみわ)神社に来ました。三輪山は標高467m、周囲16kmで、古代から信仰を集める神の山です。権禰宜(ごんねぎ)の大月智(さとし)さんに伺いました。
 拝殿の奥がすぐ三輪山になっています。
「三輪山が御神体のため本殿がありません。古事記や日本書紀の記述ですが、大国主神(おおくにぬしのかみ)として知られる大己貴神(おおなむちのかみ)が、日本の国を造る時に困難となり、海に向かって嘆くと、大己貴の魂である幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)が現れて、幸魂、奇魂を祭れば国は平和になるとお告げをしました。そのお告げにより、三輪山に幸魂、奇魂、つまり大物主神(おおものぬしのかみ)を鎮めたのが由来である、日本最古の神社の一つです」



大鳥居と三輪山
 大きな鳥居があります。
「昭和天皇在位60年を奉祝して建立しました。日本屈指、高さ32・2m、柱の間が23mです」
 ここは山の辺の道のルートです。
「今の明日香村から奈良市までとする説もありますが、一般的には石上(いそのかみ)神宮までの道といわれています。朝廷の武器庫で、刀、盾、矛などを預かる神庫だったとされる石上神宮と明日香村をつないだ古代の道で、その途中に三輪の神様もあるということになっております。春や秋の山の辺の道は、非常に多くのハイカーが行き来してにぎわいます。落ちつきのある大神神社の境内、そしてそこから北へ5分ほど歩いた狭井(さい)神社辺りが、神気、霊気のみなぎった雰囲気のいいところだと思います」




    
大神神社
   ■TEL/0744-42-6633


桧原神社


大神神社から三輪山沿いに30分、平安時代の僧侶、玄賓(げんぴん)が住んだ玄賓庵を過ぎ、さらに登ると大神神社の摂社・桧原(ひばら)神社に到着。この辺りは、山の辺の道でも最も美しいといわる場所です。ここも三輪山の岩が御神体で、拝殿も本殿もなく、三ツ鳥居があるだけです。万葉歌碑が多くあり、桧原神社のところにも、柿本人麻呂の「古の 人の植ゑけむ 杉か枝に 霞たなひく 春は来ぬらし」の句碑があります。大和三山や二上山も見え、麗しい大和が実感できます。