そこに川があるから、下る。
由良川(綾部市)
由良川を上流方面に移動し、東隣の綾部市にやって来ました。JR山陰本線の綾部駅と山家(やまが)駅の中間ぐらいに位置する和木(わぎ)橋に立つと、福知山とは全く別の顔をした由良川が見えます。かなり速く流れる水が、岩場にぶつかったり、よけたりしている感じです。
ここで今日、「あやべ由良川下り」の開催が予定されています。どんなイベントなのか、「あやべ由良川下り同好会」事務局長の久木時哉(きゅうきときや)さんに伺いました。
「『冒険野郎集まれ!』ということで昭和48年から始めた事業で、自分たちで造ったいかだやゴムボート等で楽しく下ろうというものです」
「魔の岩」を通過する船
写真提供:あやべ由良川下り同好会
歴史もあるようです。
「今回が第34回、日本で一番長い歴史を持つ川下りイベントで、平均すると毎年20〜30隻、120〜130人が参加します。コースは山家大橋から新綾部大橋までの約7kmで、カヌーだとスタートからゴールまで1時間を切りますが、創作船での参加者の中には、井堰があって流れが緩くなっている下流で泳ぐ方もいますから、2時間ぐらいはかかりますね」
レースの見どころを教えていただきました。
「この和木橋から見える『魔の岩』で、ほとんどの船がドカーンとぶつかります。分かっていても、ぶつかってしまう」
工夫を凝らした船で参加
写真提供:あやべ由良川下り同好会
創作船はどんなものが多いのでしょう。
「いろいろと趣向を凝らします。昨年最優秀賞を取った『若貴号』は、船を相撲の土俵にし、ヘルメットの上にちょんまげを付け、ライフジャケットの上に力士に見えるものを着ていました。一昨年はロープを張ったリングでプロレスをする船も出ました。この和木橋周辺が最もギャラリーが多く、魔の岩にぶつかるかぶつからないかというタイミングでパフォーマンスをやってくれますので、それを見て、協賛団体が賞を決めていきます。あやべ由良川下り同好会会長賞である最優秀賞、綾部市長賞の『まゆピー賞』、綾部商工会議所会頭賞、綾部青年会議所理事長賞などです。10回大会ぐらいまではスピードを競う賞もありましたが、事故を考えて止めました。これまで何の事故もないことが大会の一つの自慢です。船は発砲スチロール、竹、古チューブなどで造る人が多く、過去、一つの発砲スチロールのみで下ってゴールした人もいました。その人には『ズッコケ賞』を渡しました」
とにかく由良川に来て欲しい!
写真提供:あやべ由良川下り同好会
最後に由良川の楽しさをPRしていただきました。
「『そこに川があるから下るんだ』というのが、我々の唯一の楽しみです。同好会事務局はボランティアばかり5〜6人でしていますが、我々自身も楽しむ『遊』の精神で、今後もこの真夏にチャレンジし続けます。今年は無理という方も、来年はぜひ、この由良川に来てください。8月20日には、今年2回目となるカヌー大会も予定されています」
*今年の「あやべ由良川下り」は、大会前に続いた雨による増水で中止となりました。
由良川は、福知山市と綾部市とで、同じ川とは思えないほど違っていました。いろんな場所でいろんな顔が見える川だと感じました。