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由良川で見つけた、ユニークな神社と川下り。
近畿の日本海側を代表する川の一つ、由良川。京都府福知山市の福知山城近くでほぼ直角に曲がり、そこに土師(はぜ)川が合流しています。昔から暴れ川として人々を苦しめてきましたが、今日はそれが信じられないほど静か。両岸には白や黄色の野花が咲き乱れています。今回は川のはんらんに苦しめられた土地ならではという、神社からスタートします。


  堤防に守られ、堤防を守る人々。     <由良川の地図はこちら>
 


御霊神社と堤防神社(右奥)

 福知山駅から北へ数百m、由良川にもほど近い所にある堤防神社。朱塗りの御霊(ごりょう)神社の一角に建つ、木の風合いそのままの神社です。「福知山堤防愛護会」会長の芦田卓(たかし)さんにお話を伺いました。
「ここが全国唯一と言われている、堤防そのものを御神体とした堤防神社です。福知山城から1000mほどの堤防が御神体です。福知山は昔から水害が多い町で、とくに明治38年、40年、昭和28年には壊滅的な被害を被りました。それで造っていった堤防に守られて、今の生活ができていることに対し、みんなで堤防に感謝して、自然を守り、また、水害の恐ろしさを知ってもらうため、神社の行事を続けております」
 


美しい由良川

 福知山堤防愛護会とは、どんな組織なのでしょう。
「この近くの地域住民が寄って結成したもので、前身が活動を始めたのは昭和6年ごろ、今の形態になったのが昭和29年です。毎年、『堤防まつり』を8月15日に行いますが、その1週間ほど前の8月第1日曜日に、左岸側の堤防を会員が掃除します。35自治会、500名以上が出て、朝6時から河川に対する愛情や感謝の気持ちを込めて行います。掃除そのものより、堤防に対するいろんな気持ちを持って行うことに、大きな意義があると思います」



堤防まつり
 お祭りについて伺いました。
「だいぶ昔からやっていて、福知山の有名な『ドッコイセ花火大会』も、元はといえば『堤防まつり』の花火大会として始まったものです。8月に入ったらいろんな準備をし、当日は、朝の神事の後、神さんが入る普通のみこしや、鈴だけで飾った『鈴みこし』、太鼓などを車10台ほどに積み、市内を巡行して、水に対する理解を深めていただきます。8月15日は一番暑い時期ですが、梅雨時と並んで水害の多い秋を前に、こうしたお祭りをすることには意義があります」

 


写真道は昭和28年水害の水位票
赤線の高さまで水に浸かった

 芦田さんは、昭和28年の洪水を体験されています。
「高校生でしたので、よく覚えております。市街地がほとんど泥水化して、ここら辺りは2階まで浸水しました。2階の屋根を破って大屋根の上に避難し、屋根の峰をまたぎながら救助を待ったという記録も残っています。平成16年の水害時には、堤防がしっかりしていたため、内水被害が心配されました。由良川本流の堤防内側(町側)の支流、いわゆる内水が増水しても、本流にポンプアップする施設が充実してきたため、市街地は水に浸からないという変な安心感がありましたが、紙一重で浸かりそうになりました。油断が一番危険です。今は昔と違い、特定の地域に50oとか80oとかいった大量の雨が、短時間のうちに降ります。水害はいつ起きるか分からんので常に備えること、水害が起きたら避難をして命だけは守ること、これが大切やと思っております」