次代につなげたい、世界遺産への夢。
保津川
保津川下りの乗船場。ここから京都の嵐山まで、約16kmを2時間かけて下る魅力は、素晴らしい自然の中で味わうスリルです。急流で船を操る船頭さんの一人、保津川遊船企業組合の青山敏男さんにお話を伺いました。
「組合には、18歳から75歳までの船頭さん129名と、船大工さんが1名がいます。僕は13年目の33歳で、前は植木屋をしていましたが、一緒に住んでいた兄と義理の兄が僕より1年早く船頭になり、楽しそうに仕事をしてるんで、僕もやろうかなという気になりました」
保津川下りに向かう船
誰でも船頭さんになれるのでしょうか。
「昔は親戚や身内の方ばかりでやられていたんですが、僕が入る1年前から一般公募が始まりました。今は亀岡市か南丹市八木町の住民で、年齢が30歳までなら入れます。頑張って体力をつけてもらうのが第一で、最初の2年間は師匠の船頭さんに付いて修行をします。個人差はあるものの、10年が一人前になる目安と言われています。川は、水の量などその日ごとに違い、それを紙の上じゃなく体で覚えていくのが大変です」
いろいろな方との触れ合いが楽しいようです。
「毎回違うお客さんが乗って来られるんで、新鮮で楽しいですね。それに、『前、船頭さんのお船乗ったよ』と同じお客さんが来てくれはる時もあって、違った意味で嬉しいです。保津川下りの人気の一つは、船頭さんのそれぞれのトークでしょうね。もう、吉本かっていうぐらいおもしろい船頭さんもいますんでね。僕はおばちゃんに人気があるんですが(笑)」
清掃活動の様子
写真提供:保津川遊船企業組合
青山さんが発起人になり、船頭さんたちが保津川で清掃活動をされています。
「元々、船頭さんが個々に河原のごみを拾ったりしていたんですが、少ない人数でやるよりたくさんの人に呼びかけてやった方が、川が奇麗になるので、去年の7月からグループで川の清掃を始めました。声を掛けると、60〜70人の船頭さんが集まってくれますね。以前、自分の子供を船に乗せたら、すごく楽しそうにしてくれたのに、家に帰ると『お父さん、川汚いな』と言うんです。それがすごくショックでね。自分が小さい時はもっと保津川が奇麗やって、子供にも奇麗な川を見せてやりたいという気持ちがありました。他の船頭さんがごみ拾いされているのを見て、自分の職場でもあるし、立ち上がって何かをしなあかんなぁと思いました」
保津川の将来像について伺いました。
「最終目標は世界遺産登録です。なかなか困難なことですけど、僕の次の世代、その次の世代と、どれだけかかってもいいので、ゆくゆくは世界遺産になるような自然豊かで素晴らしい環境のままで、この川があって欲しいと願っています」
保津川下り
■乗船料/大人3900円、4〜12歳2500円
■予約/保津川遊船企業組合
0771−22−5846
京都府亀岡市に来て、保津川を訪ねました。本当に奇麗で気持ちのいい川でした。