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  ホタルの飼育で、心を一つに。
 
林田川上流
 車で1時間、支流の林田川に沿って上がり、姫路市安富町に来ました。宍粟(しそう)郡安富町時代に「花とホタルのまち」をキャッチフレーズにしていた町です。川幅10mほど、澄んだ水が流れる山間のせせらぎといった感じの林田川の近くにある姫路市立安富北小学校は、この川を舞台にいろいろな活動をしています。
 橋本忠和先生と6年生の皆さんにお話を伺いました。

 --ホタルの飼育を10年ほど前から行っているとのこと。
上山さん「6月に親子でホタル狩りをします。多い時は1日で雌が20匹、雄はその4倍以上取れます」
松本君「雄は明るく光って飛び回っていますが、雌は低く飛んでいるので取りにくく、取れないこともあります」

 


左から:松本君、渡辺君、渡辺君、
上山さん、森上さん、鶴谷さん

 --ホタルは飼育箱で飼育し、産卵させるそうです。
鶴谷さん「卵が産まれてふ化するには、大体20日から1ヶ月かかります。水ごけが乾かないよう、霧吹きで水をかけます」
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ホタルの餌、カワニナの確保が大変なようです。
森上さん
「たくさんは取れません。川に入って遊んだ時に見つけました」
橋本先生「この辺は保護区になってまして、カワニナを自由に取れないんです。だから、1kg約7000円する静岡産のカワニナを、年間10〜20万円程度買っています。カワニナの餌であるキャベツは、やりすぎると腐って水が濁りますので、微妙なさじ加減が必要です。ホタルの幼虫は、アリぐらいの大きさになる3月ぐらいまで育て、ここ林田川に放流します」


 

ホタルの飼育装置

写真提供:安富北小学校

 --育てた6000匹ほどのうち、放流できるまでに成長するのは何匹ぐらいでしょう。
渡辺
「300匹ぐらいです。先生から教えてもらいました」

 --一昨年、台風による倒木の被害を受けたため、子供たちは倒木とホタルとの関係について調べ、昨年度に開催された「揖保川流域サミット」で発表したそうです。
渡辺「山の土砂崩れがあり、ホタルは大丈夫かと思って調べましたが、幸いホタルにはあまり影響がなかったことが分かり、良かったです」


 


林田川の水生生物を使った授業
写真提供:安富北小学校

 --取材を通じ、子供たちの林田川に対する強い愛着を感じました。
橋本先生「ここは遊ぶ場所であり、食べ物を取る場所でもあります。例えば、ここのじゃこを取って豆と炒り、『じゃこ飯』を作って食べています。郷土料理や郷土の文化も、この川を中心に広がっていて、嬉しく思います。また、田舎なので家と家が非常に離れていますが、川に入る時はみんなと一緒ですので、上の子が下の子の面倒を見るなど、仲間同士のきずなをつなぎ合う場となっています。ホタルはその大きなきっかけになっていて、1年生から6年生までのみんなの思いを一つにしていると考えています。将来ここから旅立っても、ホタルを見に来たいという子供たちの“思いの居場所”を、ホタルや川で作ってあげることが大切じゃないかと考えています」
 


川からいろいろなことを学んでいる子供たちの話を聞いて、その子供たちのためにも、奇麗な川をずっと保って欲しい、もっと奇麗な川の思い出を作って欲しい、改めてそう思いました。