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  大水害にも、生き残った桑。    
 

桐村さんの桑畑
 綾部市の西隣、福知山市に来ました。福知山駅から由良川に沿って北へ10kmほど、下天津(しもあまず)地区にある「シルクの里・下川口紡ぎ糸生産組合」にお邪魔しています。ここでは糸を紡ぐだけではなく、可愛らしい人形が作られているそうです。桐村さゆりさんにお話を伺いました。まずは、由良川と養蚕業との関係から。
「桑は水に強くて、いくら水害に遭っても枯れないで芽が出てくるため、以前、由良川沿いはほとんど桑畑でした。はっきりとは分からないんですが、一番盛んな明治34年ごろは、京都府下で3万2千軒ほどあったみたいです。10年ぐらい前までは20〜30軒あったんですけど、6年ほど前から3軒になってしまいました」

繭人形
人気のドッコちゃん人形

 そんな中で頑張っているのが桐村さんです。
「シルクの里・下川口紡ぎ糸生産組合」は、いつごろ出来たのでしょう。「丸10年になります。それまで、くず繭はすべて燃やしていたので、もったいないなあと思っていましたが、私が東京でくず繭から紡ぎ糸を編み物用としてこしらえる方法を教えてもらい、こちらへ帰って皆さんに話したところ、それをしてみようということになり、組合を作りました。その後、いろんな方に出会い、紡ぎ糸にするよりも繭人形にしたらどうですかと言われ、最初にペンギンなどを作りました。そして、丑(うし)年からえと人形の販売を始めたところ、ものすごく人気があり、よく出ました。皆さんに『可愛い、可愛い』と言うて買っていただき、組合員も、忙しいと思いつつも、楽しんでこしらえてました。ただし、もうかるところまでは全くいきません」

 


シルクの里近くの由良川
橋けたの下のごみが
ここまで水位が上がったことを示す

 2年前、台風23号による大水害に見舞われました。
「あの水害は、それまでと違って水がものすごく早く増えてきたんですね。本当に怖い思いをしました。水に浸かるのは何回かあったんですけど、23号みたいな水は初めてで、ただウロウロするばかりでした。この辺も水浸しで、何もかもあきませんでしたが、桑だけは、水に浸かり、(土砂で)畑の中が山みたいになっても、ちょっと木が出ていれば芽が出てきますね。桑って強いなあって思います。カイコが好きなんで、これからも元気な間は続けていきます」

「シルクの里・下川口紡ぎ糸生産組合」
■TEL /0773−33−2690


京都府を流れる由良川を訪ねました。人、心、そして、川のつながり。また、可愛い繭人形の表情も。やはり由良川は、気持ちがゆったり、ゆらりとします。