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優しき川に、「憲章」と「人形」を訪ねて。
ゆったりした時間を過ごしたくて、京都府綾部市を流れる由良川に来ました。時が止まったような神聖な静けさの中、周りの緑が水面に映って、不思議な絵を見ているような感じになります。さて、今回の話題は「由良川憲章」と繭(まゆ)人形です。2月に公表された由良川憲章とは、一体どういうものなのでしょう。また、繭人形と由良川には、どんな関係があるのでしょうか。



  由良川を連携と交流のシンボルに。
 

由良川(京都府綾部市)

 由良川を生かしたた地域づくりに取り組んでいる京都府中丹広域振興局企画振興室の小森豊久さんと、由良川憲章づくりに関わった「半農半X研究所」代表の塩見直紀さんに、由良川を見ながらお話を伺いました。
  まずは小森さんに、由良川憲章を作ることになった経緯から。
「京都府の出先機関である『地域振興局』が、平成16年度に12局から4局に統合された時、権限が下ろされて地域の振興計画を作ることになりました。中丹広域振興局では、『中丹地域振興計画』を作りましたが、そのなかで由良川を連携と交流のシンボルにした地域づくりが挙げられたため、中丹地域が元気になるための理念として由良川憲章に取り組みました」
 


由良川(京都府福知山市)

 塩見さんとは、どんな縁があったのでしょう。
「中丹地域振興計画を作るに当たり、まずは中丹地域で頑張っている約30名の方に集まっていだだきました。その1人だった塩見さんから、由良川に関する意見が多く出たため、翌17年度の事業である『由良川を活かした地域振興策等検討委員会』に入っていただきました。そして、17年8月から18年1月まで計6回検討を重ね、2月に『由良川憲章』と『由良川ゆうゆう・いきいき・元気推進事業』を策定し、公表したところです。憲章では『8つの理念』を掲げていて、それに基づいて取り組んでいこうとしています」
 「由良川憲章 8つの理念」
▼由良川流域の交流・連携を進めます
▼由良川流域の自然・環境の保全を図り、由良川の清流化につとめます
▼由良川流域の良さである地域資源の再発見につとめます
▼ 由良川流域のブランド価値の創出につとめます
▼由良川流域に学ぶ機会を創造し、時代を担う人財を育成します
▼由良川流域の生活文化の知恵を次世代に継承します
▼由良川流域の魅力を積極的に発信します
▼由良川流域を愛する人をふやします


由良川の近くを流れる私市丸山古墳
(綾部市)

 塩見さんは「半農X研究所」代表。半農半X(エックス)とは、どういう意味なのでしょう。
「半分は自給のための農業をして、半分は自分にとって天職、大好きなこと、得意なことを仕事にするということです。屋久島在住の作家、星川淳さんのライフスタイル『半農半著』と出会い、21世紀の生き方として『半農半X』を提唱するようになりました」
 塩見さんは「コンセプトフォーエックス」代表でもあり、コンセプトメイクのプロでもあります。
「琵琶湖が『マザーレイク』というコンセプトで売り出しています。由良川も『ゆら』という優しい響きが大変いいので、コンセプトとして面白いんじゃないかなと思っています。売り出し方としては、安心・安全・持続可能性を感じさせつつ、一方でわくわくするイベントなどがある川。つまり、安心・安全と新しい価値の創出(にぎわいづくり)の2本柱がキーじゃないかなと思っております」

  由良川憲章は、どのように策定していったのでしょう。
「委員会ではいろんな意見が出ました。例えば、水害のひどい下流域では、2004年の大水害の影響で防災を重視した意見が多く出ました。他に、中丹地域の魅力をもっと情報発信すべきだという意見や、子供や地域の人に由良川のことを知ってもらうことが大切、歴史の研究が必要、都会の人に来てもらうことが大事といった意見も出ました。それを八つぐらいに分類して、このような理念の憲章が出来ました。意外とうまく出来たんじゃないかなと思っています」

私市丸山古墳から見る
由良川の眺望は素晴らしい

 具体的な事業について、再び小森さんに伺いました。
「『由良川を活かした地域振興策等検討委員会』で、事業アイデアをたくさん挙げていただきましたが、その一つに『未来へリンク!中学生由良川サミット』があり、京都府の平成18年度事業として行いました。中丹地域の自然や文化、歴史を中学生が調査し、発表したり意見を交換したりする事業です。レベルが大変高く、充実した内容に驚きました。今後は、福知山市、舞鶴市、綾部市、京都府、さらにはNPO法人や住民の方々を含めて『由良川憲章推進ネット』を作り、取り組みを推進していきます」

 近々、シンポジウムがあるようです。
「12月9日に綾部市中央公民館で開催します。まず、流域振興の先進地である高知県の四万十川と、日本一の清流と言われる三重県の宮川の関係者に、その取り組みについてご紹介いただきます。その後、そうしたお話を受けて、由良川の魅力やこれから由良川流域をどのようにしていけば良いかということを考えるパネルディスカッションをするという、二部構成になっています。事前申し込みの必要もなく、どなたにも無料で参加いただけます」
  綾部市中央公民館へは、JR綾部駅から車で5分ほどで行けます。