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   力を合わせ、清流の危機を回避。       
 
「この清流を次世代に
引き継ぎたい」と語る中村さん
 離宮、日本一の桜、吉野杉などを連想する吉野川は、今も昔も清流であるように思ってしまいますが、ピンチになり、みんなで力を合わせて水質を保ってきた経緯があるそうです。今度は、そうしたなかで重要な役割を果たしてきた「吉野川清流保全対策懇談会」の事務局を務める、奈良県企画部資源調整課の中村健太郎さんにお話を伺いました。
「吉野川清流保全対策懇談会は、国の関係機関、奈良県、吉野川流域市町村、民間事業者で構成されています。現在の会員数は38会員で、そのうち行政が15会員です。昭和44年、奈良県五條市を中心に吉野川流域市町村が集まり、『吉野川を守る会』という組織を作り、河川環境の整備やごみの不法投棄防止などの活動をされていました。その後、川の濁りがひどくなってきたため、昭和50年12月には、国と奈良県、流域市町村、そして開発や採石、生コンなどの事業者が集まり、21会員で吉野川清流保全対策懇談会を結成しました」


清掃活動の様子

 当時の水質悪化の原因は、何だったのでしょう。
「住宅やゴルフ場の開発、山からの砂利採取などが盛んになり、大雨が降ると川に土砂が流出してきたことが大きな原因でした。結成当時は、土砂流出で川を汚す可能性のある事業者を会員でパトロールしました。また、河川生態学をはじめとした専門家を招いて研修会を開催し、会員の意識を高めるように努めてきました」

 今は主にどんな活動をしているでしょう。
「活動の効果が現れ、現在では土砂流出はほとんど見られません。そこで、今年は6月に会員が河原に集まり、清掃活動を行いました。川に出るといろんなことが分かります。ごみがたくさん落ちていて汚いとか、今日は川がちょっと濁ってるとか。会員自身が河原で活動することで、川の状態を肌で感じることができますから、河川環境を考える良いきっかけになったと思います。この他、町内会など地元で清掃活動を行っている団体に、軍手やごみばさみなどを支給したりして、地域活動を支援する取り組みも始めています」

 

美しい吉野川
 吉野川の水質は変わったのでしょうか。
「水質そのものは全般的に良くなっています。当懇談会も取り組みをしてきましたが、『吉野川を守る会』や地元の方々の大変な努力も大きいと思います。今後は、吉野川に関わる一人ひとりが、川を奇麗にしようという意識を高めることが重要です。例えば、吉野川に遊びに来られた方がごみを持って帰る、流域にお住まいの方が家庭で使う洗剤の量を少なくするなど、簡単なことでもたくさんの方が注意すれば、吉野川はもっと奇麗になっていくと思います」


奈良県吉野町を流れる吉野川を訪ねました。清らかな吉野川と同じように、どこに行っても皆さんから声を掛けていただけるような、人の温もりを感じる吉野でした。