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   「清流とともに暮らすには」。   
 
多種多様な生物がいる猪名川
 猪名川町の南隣、猪名川の下流側にある川西市にやって来ました。お邪魔したのは川西市立久代(くしろ)小学校。こちらの牛尾巧校長は、全国川サミットin猪名川のパネルディスカッションにC・W・ニコルさんと一緒に参加されます。「NPO法人野生生物を調査研究する会」副理事長で、水生生物の専門家でもいらっしゃいます。最初に「調査研究する会」についてお伺いました。
「メンバーは約30人でほとんどが公務員です。植物、動物、動物でもホ乳類や両生類、また水生生物、陸生昆虫、地質といった分野で勉強している方が集まっている組織で、平成4年に発足し、11年にNPO法人になりました。活動は、人づくり、情報提供、野生生物の調査研究の三つが柱です」


2005年7月に行われた親子自然観察会

写真提供:NPO法人野生生物を調査研究する会・牛尾巧さん

 この猪名川について分かったことは、どんなことなのでしょう。
「貴重種の生物には巡り合いませんでしたが、昔、ごく当たり前にいたタガメやタイコウチ、ミズカマキリといった水生生物を含めて、多種多様な生物が今でもいろんな分野にたくさんいて、優れた川だなと思っています。流域に180万人も住む典型的な都市河川でありながら、生物が多様に生息していることは、水が健康だという証でもあります。その逆に、昔いたイシガメやクサガメがミシシッピーアカミミガメに変わっていたり、田んぼに当たり前にいたタニシが巻貝のサカマキガイやヒメモノアラガイに変わっていたり、水生昆虫の王様であるタガメなどの数が減ったりして、外来種が少しずつ上流域にも増えてきている実態があります」

 人づくりはどんなことをしているのでしょう。
「今年も夏休みに2日間、阪神間や大阪府下の教職員を対象に、植物、水生生物、魚類、陸生昆虫、天文学の太陽の黒点調査、地質学の岩石・地層の関係のセミナーを行います。今年で9回目ですが、20人弱の幼稚園と小中学校の先生方が毎年参加します」
 

猪名川の源流である大野山の山頂付近
写真提供:猪名川町広報コミュニティ課

 8月6日のパネルディスカッションのテーマは「清流とともに暮らすには」。それを実現するためには何が必要なのでしょうか。
「人と自然をつなぐ取り組み、生物の多様性を限りなく保障していくためのビオトープ化や山と川と海との循環における保全活動を進めていくこと、意識を高めるための実践家の育成です。猪名川町は『ラブ・リバーINAGAWA』という素晴らしい取り組みをなさっていて、実践家の育成にも意識改革にも取り組み、行政、企業、一般住民、PTAもこぞって実行委員会組織で猪名川上流域の河川のクリーンアップや生態にかかる自然体験学習などをされています。いろんな取り組みを、下流域を含めた流域の自治体が一緒になってやっていくことが大事かなと思っております」

 最後に猪名川の魅力についてお伺いしました。
「まだ里山がたくさん残っていて、そこにたくさんの動物や植物が育っています。人間も他の生き物たちと同様に生かされているという面で、そこに熱い思いがあります。私も何年か住んでいますので、体の70%以上は猪名川の水で出来ています。その原水をより奇麗に保つことが、病気から自分の体を守ることにもつながります」
 

兵庫県猪名川町で猪名川に清流を取り戻そうと町をあげて取り組んでいる姿を見て、流域の町全部が行えば、確実に源流から海まで奇麗な川がよみがえるものと思いました。そのためには意識改革が必要なのでしょう。