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日野川を少し下り、越前市の北隣にある鯖江市に来ました。こちらには「丹南地域環境研究会」があります。会の代表で、福井工業高等専門学校環境都市工学科助教授の奥村充司さんにお話を伺いました。丹南とは、福井県丹生(にゅう)郡より南の地域とのこと。具体的にはどこを意味するのでしょう。
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「まだ公害問題を少し引きずっていて、地下水汚染がこの地域で大きく取り上げられていた時代でした。地下水を飲み水や生活用水によく利用する地域なので、地域の快適な環境や安全で安心して暮らせる地域づくりが会の目指すところでしたが、まず足元に残る負の遺産を解決することにしました。地域の方に井戸水をくんできていただき、汚染状態を調べ、汚染マップを作って、危険な地域の水を飲まないようにとか、煮沸して生活用水に使うようにとかいったことを、行政の方と一緒に知らせていくことから始めました」 |
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町づくりについては、どんな活動をしてきたのでしょう。 「越前市の旧武生市に、江戸時代初期に整備された『町用水』というものがあります。日野川から生活用水を引き込んでいる施設で、日常の洗い物をしたり、積雪をそこへ流したりと多目的に使われていましたが、昭和40年代に車社会になると、それが暗きょ化されて水面というものが消えました。そこで、一部残っている町用水を見て歩くようなことも、最初にやりました。自然環境に関する活動では、日野川に住む水生昆虫などの底生生物、魚、鳥といった非常にいい生態系の状態を、私たちの手で評価し、『日野川エコマップ』を作りました。小学5年生に3年間配りましたか、福井工専に入ってくる学生に聞くと、『あ、もらったよ』と覚えていてくれる子がいて、これを軸に環境問題に取り組もうという意欲を持った子供も育ってきました」 |
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その他にも、いろいろな取り組みをしているようです。 「昔は、日野川の伏流水が至る所でわき出していたんですが、その一つである『八幡のフケ』を、旧武生市が環境基本計画を作る段階で『残したい水辺空間』として挙げました。現在、水はわき出していませんが、水辺空間として日野川とつながり、魚が行き来するため、餌場として鳥が来るし、いろんな水生昆虫も生活をしています。地域の方のご理解を得ながら、そこを保全整備して残しています。また、日野川の支流の中には、まだ工場排水の影響を受けているような川がいくつかあります。その一つの御清水(おしょうず)川には、工場で使われた硝酸性窒素が、基準の大体5倍ぐらい流れてきます。窒素が多いということは肥料が多いということになり、藻類が繁殖してユスリカという蚊が住みつき、春や秋口に大量発生して付近の方が困っておられました。以前は環境ホルモンでユスリカがさなぎになるのを抑えていましたが、私たちは人海戦術で藻をすべて刈り取ることにしました。今では、年間で2トントラック190台分を焼却処分しています。その結果、ユスリカは1000分の1ぐらいになりました。ただ、川の水温が年間を通して15〜20℃あり、ユスリカが冬場でも出ていたので、それを餌にする越冬ツバメが来なくなりました。それを寂しく感じている人もいて、こういう活動の難しさを知りました」 |
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![]() 福井県の日野川を訪ねました。地域の自然環境のために尽力されている方に、熱いお話を伺って、頭が下がる思いでいっぱいになりました。 |
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