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   家庭の廃油回収で川を奇麗に。
 

飛鳥川(橿原市内)
 明日香村の隣、奈良県橿原市に来ました。奈良県の飛鳥川流域5市町村では、「飛鳥川流域生活排水対策推進会議」を作り、飛鳥川を汚さないようにと流域の皆さんに訴えています。その事務局を務めているのが、橿原市環境対策課環境保全係です。担当の井上直樹さんにお話を伺いました。流域5市町村とはどこでしょう。
「橿原市、磯城郡田原本町、三宅町、川西町、高市郡明日香村です。川を奇麗にする意識を高めるための奈良県のモデル事業として、飛鳥川と竜田川が平成6年にモデル流域に指定されたのを受け、5市町村で組織を作りました。まず、生活排水対策の啓発をしようと、駅前での街頭キャンペーンや各市町村での啓発を始めましたが、家庭から流される食用油が川を汚す主原因の一つのため、食用油を回収し、それでリサイクルせっけんを作ってリサイクルを普及させていくことになり、今ではこれがメイン事業となっています」


回収の様子
写真提供:橿原市役所
 どのように呼びかけているのでしょう。
「主に市町村の広報紙で呼びかけています。また、各市町村の食生活改善推進委員や婦人会などを通じて呼びかけています。最初はあまり知られていないこともあり、平成6年は5市町村でたった340リットルしか集まりませんでした。しかし、2月の大和川水質改善強化月間や6月の環境月間にあわせてお知らせする機会を増やすと、市民の意識も高まり、平成16年度には約1万リットル回収できました」

 その1万リットルで、せっけんを作るわけです。
「液体せっけんなら、約4倍の4万リットル、橿原市が作っている粉せっけんなら約1.5倍出来ます。ただ、廃油には不純物も多いため、単純に回収量の1.5倍や4倍になるというわけではありません。製造はせっけん会社にお願いしていますが、まず廃油を奇麗に精製し、加熱し、そこに水酸化ナトリウムを加えて混ぜて作ります。加工賃などあって、市販の洗剤よりは割高にはなるかとは思いますが、純せっけんで分解されやすく、環境に優しいものになっています」
 

回収廃油で作ったせっけん
 せっけんは販売しているでしょうか。
「販売はしておりません。食用油を持ってきていただい際の交換や啓発活動などに使っています。交換については、持ってきた量に関係なく、1回につき100 g入りを2袋渡すことにしています。一度持ってきていただいた方には、リピーターとなって何度か来ていただいています。また、新しい方もどんどん増えていますので、着実に輪は広がっていると思われます。合成洗剤に慣れているせいか、油から作ったせっけんに使い慣れるまで少し時間がかかるものの、赤ちゃんや肌の弱い方がいる家庭には好評です。ただ、ぜっけんが欲しいというより、廃油の処分に困って持ってこられるケースが実際多いと思います」

 


飛鳥川美化活動

写真提供:橿原市役所

 この他には、どんな活動をしているのでしょう。
「年に1度、啓発用のテープを流しながら車で飛鳥川周辺を回る『合同パトロール』をしています。あとは、駅前で街頭キャンペーンを行い、ケナフ製の水切り袋やリサイクルせっけんを配って、生活排水対策の啓発をしています。9月には、『かしはら商工まつり〜まほろばフェスタ』が行われますが、職員が川で取ってきたサワガニやメダカを水槽展示して、子供に楽しんでもらいつつ啓発を行っております。さらに、橿原市の小学4年生を対象に、川の汚染や生活排水対策の話をし、パックテストという簡易実験で川の汚れを調べてもらうなどの環境教育にも取り組んでいます」


山と川、棚田に滝。思いっきり自然を満喫して、飛鳥川を離れました。目を閉じれば、川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえてきます。一日、たっぷり癒やされてきました。