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飛鳥川、源流域と生活域での、それぞれの取り組み。
奈良県明日香村の南東部を源にする飛鳥川は、橿原市などを通り、奈良県川西町、安堵町、大和郡山市の境界辺りで大和川に合流しています。源流に近い、ここ明日香村栢森(かやのもり)地区の女淵(めぶち)は、美しい「女淵の滝」が落ち、水の神が宿ると言われている地域で、7世紀前半の皇極(こうぎょく)天皇による雨ごい伝承もあります。川幅は2mぐらい。透き通った水が流れています。


  飛鳥川の原風景を目指す。  飛鳥川の地図はこちら
 
飛鳥川 源流域
 自然いっぱいの飛鳥川でも、よく知る皆さんに言わせると、以前の姿が失われているとのこと。そこで、なんとか昔の姿をよみがえらそうと頑張っている方々がいらっしゃいます。まずは、「飛鳥川の原風景を取り戻す仲間の会」事務局長の水谷道子さんに伺いました。
「女淵は源流域そのもので、龍在峠から畑谷川が流れてくるのも、芋峠から寺谷川が流れてくるのも、それが一つになって飛鳥川になるのも、この集落です。ここから70mぐらい上流にある女淵の滝は、真夏でも水温20度。この沢筋だと27度ぐらいです」
 


女淵の滝

 会が目指している原風景とは、どんな風景なんでしょう。
「25年にわたってこの地区の総代をしてこられた嶋村清隆さんが記憶している、少年時代の風景、つまり昭和初期の風景を目指しています。今はスギやヒノキなどの“緑の木”が川縁まで来て覆っていますが、昔は川の蛇行が山の林道から見渡せ、川の両岸にツツジやフジ、また四季折々の野草が咲き乱れ、声の届く範囲にクヌギやコナラなど秋に色づく木がいっぱいであり、スギやヒノキは遠くにあったと聞いています。その記憶を再現するため、平成11年から活動を始めました」


女淵での活動
写真提供:飛鳥川の原風景を取り戻す仲間の会
 これまで32回の活動を行ってきたそうです。
「1回目は64名が集まり、間伐や枝打ち、ササユリを植える場所造りや川に顔を出してもらうための草刈りなどの準備作業をしました。2回目は、飛鳥川の左岸沿いに自然の落差を生かした遊歩道を、80名で70mにわたって造りました。川の石を左に寄せ集め、石間に川の砂を埋め込んで足で地ならしをしたんです。その後、集落の入り口1kmにわたって河川整備のためのやぶ刈りは、春夏秋冬欠かさずやっております。さらに、ホオノキなどの広葉樹の植樹、国蝶のオオムラサキの定着活動、スズタケなどで覆われていた田んぼを復元し赤米やソバを植える、地元の食材を使った炊き出し、エコマネーや記念絵はがきの発行などを行っています。エコマネーは、木のコースターに女淵と飛鳥の彼岸花を焼き印したもので、参加者にお渡ししています。地元の方が当日の取れたて野菜を出してくれるので、それと交換して帰ってもらっています」


地元食材を使った炊き出し
写真提供:飛鳥川の原風景を取り戻す仲間の会

 水谷さんは「森林インストラクター」の資格をお持ちです。どんなことをするのでしょう。
「1991年から始まった資格制度です。都会の人にとってなじみの薄い空間である森の生態や仕組みなどについて解説したり、森でレクリエーション活動したり、ボランティア参加を指導したりして、森が私たちの生活に直結していることを体感してもらえるような活動をする役割です。嶋村さんが、『川は山がつくるもんやねん』とよく言います。はげ山や手入れのいかない山だと、雨が降ったら土砂が流れたり、川の水量がいきなり増したりと言われています。逆に、きちっと手入れしていれば、スギやヒノキの山であっても、そういうことは改善されていくわけです。だから、森を手入れすることが、山を保全し、川をつくることになると思います」