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   貴重種発見に、歓声上がる。
 

貴重種復活の場となった休耕田と水路
 新旭水鳥観察センターから南へ車で3分、雪に覆われた田んぼの所々にヨシが生え、小さな川が流れています。ここで去年、貴重な生き物が観察できたとのこと。詳しいお話を「高島地域みずすまし推進協議会」会長の松見茂さんに伺いました。
「『高島地域みずすまし推進協議会』は、10年ほど前、滋賀県が琵琶湖の水質改善を目指して、10ヵ所弱ある県事務所の単位で作った『みずすまし推進協議会』の一つです。農業経営を通じてこれ以上琵琶湖への負担をかけないようにし、地域住民みんなで農村地帯の生態系を維持していこうというのが目的です」



休耕田への魚道づくり
写真提供:松見茂さん
 今回の活動について伺いました。
「昔のように田んぼに魚が上がり、産卵をして、稚魚が川へ下って琵琶湖まで行くようにしたいなあと思っていた時、たまたまこの休耕田を自由に使ってくれてもいいという話があったので、皆さんと力を合わせて魚が上がれるようにしました。別の水田で3年ぐらい失敗を重ねましたが、それを踏まえてここで去年4月25日に通水したところ、翌日にはドジョウとギンブナが上がりました。あれは本当にうれしかったですね」

 貴重種発見はいつだったのでしょうか。
「地域の人や魚を愛する人たちにここを見てもらおうと、5月15日に第1回の自然観察会をした際、『琵琶湖博物館うおの会』の方々がスジシマドジョウを5匹発見し、歓声を上げました。環境省や滋賀県が絶滅危惧種にしている貴重な魚で、体の真ん中あたりに茶色がかった黒い縦じまが走っているドジョウです]
 

発見されたスジシマドジョウ
写真提供:松見茂さん
 どれぐらい珍しいものなのでしょうか。
分布しているのは、近畿や中国、四国の瀬戸内海に面する高松や松山あたりだけです。『うおの会』が1997年〜2003年にかけて琵琶湖に注ぐ河川の2800ヵ所を7年がかりで調査した時には、24ヵ所で計76匹がやっと見つかった程度でした。それがまず5匹、しかも、6月25日から8月12日まで、どれぐらい川へ下りるか調査したところ、驚くなかれ636匹もの稚魚が、このたった3反ほどの水田から下りていきました」

 素晴らしいこと。これをぜひ今後につなげたいものです。
「これを『みずすまし水田』と名付け、今後は地域や行政、農業や漁業組織の方々と協力し、ネットワークを作ってやっていきたい。各水田でこういうことをやったら、もっともっと絶滅危惧種の魚もよみがえってくれるだろうし、琵琶湖の魚もにぎやかになるでしょう。外来魚の騒ぎも少しは緩和されるんじゃなかろうかという思いはありますね。都会の方とも手を組んでやりたいと思ってますから、応援してください」


雪に覆われた滋賀県高島市で冬の琵琶湖を楽しみ、水鳥の群れを見て子供のようにはしゃいでしまいました。皆さんも、ぜひお越しください。