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   もうひとつの歴史、藍染め。
 
塩見さんの工房「藍の里」
 由良川から少しだけ北の山側へ入ると、「福知山藍(あい)同好会」会長の塩見敏治さんの工房があります。藍の作品がずらりと並ぶ中、以前は市会議員をされていたという塩見さんにお話を伺いました。
「藍染めに成功してから、今年で11年がたったところです。この地域で盛んだったカイコさんがだめになり、それに代わるものを探すことが行政面でも大切だったため、歴史を訪ねてみると、カイコの前にアイがあったことが分かったため、それで地域おこしができないかと思い、23年前に初めて種をまきました。お年寄りから話を聞きつつ、アイの栽培や復活を手がけたわけです」

塩見さんの作品

 アイが無事に育つと、次のステップである染料作りに入ったとのこと。
「アイの葉っぱに染料となる色素が含まれていますが、一大生産地である徳島県では、何百kgという大量の葉っぱを大きな土室に積み上げ、水をかけて発酵させ、3ヶ月かけて染料の『すくも』にしています。しかし、高田豊輝(とよてる)さんから『藍染は誰でもできる』という本を頂き、少量の葉っぱでも染料にすることができることを知りました。ポリバケツにアイの葉っぱを詰め、水をかけて発酵させると、2週間も経てば『すくも』になります」

 この地域におけるアイの栽培や藍染めの歴史について伺いました。
「京都の松尾大社の荘園が福知山にあり、1473年に荘園の人たちが松尾大社へ藍代を納めたという古文書の記録が残っています。また、1496年には浅葱色(あさぎいろ)や高麗色に染めた布を納めたという記録も出てきて、アイの栽培が行われていたことが確認された上、この由良川流域で藍染めもしていたことが分かってきました。私たちは、そうしたことが行われた古い土地柄であることを、福知山の自慢にしようじゃないかと呼びかけています」



乾燥中のアイの葉
 これから福知山藍同好会が、新しい福知山の歴史を作るわけです。
「藍染めで色が出て喜んでいたころがあり、せめて模様だけはと絞りや型染めに挑戦し、それからは工芸としての藍も研究・学習してきました。プロ野球でも、強く良い選手が出ると野球のファンが広がるように、藍染めも、良い藍染めができるとファンが広がります。だから同好会としても、工芸としての藍染めということで、次から次へと課題に向かっていかねばなりません。嬉しいことに、去年は福知山市の市展で同好会の会員が6人も入選しました。日ごろの努力や学習が実を結んできていますので、これをさらに花開かせるべく、前へ進むことを考えています」 


由良川とその流域に住む人たちの歴史を知ることで、現在のことについても非常に勉強になりました。2006年最初の放送は、温故知新の思いで興味深いお話がたくさん聞けました。