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九頭竜川の上流方向に車で約10分、福井市の隣の松岡町に入りました。九頭竜川の釣りのもう一つの主役であるサクラマスについて伺ったのは、「サクラマス・アンリミテッド」の天谷菜海(あまやなみ)さんです。
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「日本のフライフィッシングの礎を作られた沢田賢一郎さんが、ここへ3年ぐらい通い、非常に苦労してご自分のフライを編み出し、1988年4月4日、サクラマス釣りに成功しました。日本の河川では一部を除いてサケを釣ってはいけませんが、マスに関しては、サクラマスがヤマメの、サツキマスがアマゴの降海型という具合に、境目があいまいなところがあって、漁業法での規制もまちまちです。沢田さんは、日本の本流河川でアラスカやカナダでするサケやマスのような大型魚の釣りができないかと考え、魚影の濃い九頭竜川で釣れることを証明すると、きちんと遊漁証を作ってサクラマス釣りの振興に協力してほしいと九頭竜川中部漁協に掛け合いました。その結果、日本で初めて『サクラマス』と明記した遊漁証が発行されました」 |
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サクラマス・アンリミテッドの活動について伺いました。 「九頭竜川でサクラマスが解禁になって以来、やはりフライフィッシャーのインストラクターである杉坂研治さんはじめ、釣りのパイオニアたちがここへ来て、技術やノウハウを磨き、道具の開発なんかをしました。そうするうち、杉坂さんは川の環境が段々変わっていくことに危機を覚え、このままではサクラマスが絶滅してしまうと、釣り人たちのグループを結成してサクラマスの稚魚を放流したのが活動の始まりです。今年で12年目ですが、春と秋に計2万匹を放流し、ほかにフィッシングスクールやごみ拾いなども行っています」 |
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「逆にもし釣り人がいなかったら、九頭竜川の場合、恐らくサクラマスはみんなから忘れられた魚になったと思います。サクラマスは下流から最上流部まで行き来する魚なので、川の流域すべてが良くないと本来のサクラマスの姿はよみがえらない。サクラマスは川を見つめる指標になる魚だなって思います。今はどうしても県外産卵の稚魚を放流していますが、私たちの活動として行いたいのは、九頭竜川産の稚魚を放流することです。ここで採れたサクラマスの卵をふ化させ、川に戻してやりたい。大堰があり、街明かりが見え、川の上には送電線が通っているけれど、いつかサクラの咲くころに、群をなして遡上(そじょう)してくるサクラマスを橋の上から見たいものです。それが川本来の姿だと思います」 |
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