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大きく育て、アユ、そして、サクラマス。
頭竜川中流域、福井市東部の中ノ郷町(なかのごうちょう)。河川敷には秋を感じさせるススキの穂がいっぱいですが、川にたくさんの人が入って釣りを楽しんでいます。今回は、ここ九頭竜川で人気のアユ釣りとサクラマス釣りには欠かせない、稚魚の放流についてリポートします。


  戻ってこない琵琶湖のアユ。    <九頭竜川の地図はこちら>
 


内水面総合センター

 中ノ郷町にある「福井県内水面(ないすいめん)総合センター」に来ました。飼育や実験、研究を行っている施設ですが、すぐ裏に九頭竜川が流れ、また、裏庭に九頭竜川をイメージした人工河川があるなど、一般の方にも親しまれている施設です。石原孝所長にお話を伺いました。
「海面に対して、川や湖沼を総称して『内水面』と言います。我々は年に100万匹、約4トンのアユを生産していますが、これは福井県内で放流する総量の約1割にしかなっていません。大部分が琵琶湖のアユに依存しているため、我々としては、天然アユの親から生まれて自然に上がってくるアユやここで作るアユをもっと増やすことが大切な課題だと思っています 九頭竜川と琵琶湖のアユは、遺伝子レベルから違うと言われています。九頭竜川のアユは海に下ってまた上がってきますが、琵琶湖のは海に行きません。ここで琵琶湖のアユを放しても、海へ下ると死ぬと言われていて、再生産ができないアユであり、釣り客のためのアユとなりますから、自然を守る点からするとちょっと問題です」
 


アラレガコ

 アラレガコの研究や環境に関する監視、魚の病気対策も仕事とのこと。
「アラレガコは卵から成魚までの一貫飼育をする技術開発をしています。量産化をする試験です。アラレガコはカジカ類なのでそれほど珍しい魚ではないんですけど、九頭竜川のこの地域が生息地として天然記念物に指定されているため、ブランド価値が高いことから養殖魚種として適切だろうと考えています。高価で売れるので、養殖業者がこの魚種を取り込めば、この地域の活性化にもつながるのではと思っています。環境に関しては、九頭竜川と嶺南の湖をポイントとして、毎年、モニタリング調査をしています。今のところ目立った変化は確認されていません。病気については一番頭の痛いところで、去年は、天然水域でもコイヘルペスが出ましたし、アユなら冷水病が天然水域で出てくる時代になりました。病気の診断や治療は非常に難しく、手間がかかってナーバスな問題ですから、我々が担う機能としては大切な仕事だと思っています」


内水面総合センター ふれあい広場
 ところで、この建物の前も素晴らしいアユの釣り場になっているようです。
「『内水面センター前魚場』っていうんです。釣りを楽しみに、ぜひ九頭竜川へ来て欲しいなと思いますね。私は尼崎市出身で、武庫川、淀川、神崎川はよく知っていますが、30年前にここへ初めて来た時、本当に九頭竜川は素晴らしいと思いました。でも、最近は益々奇麗になっていると思います。見た目からして美しくなっている。川が自然に戻っていると実感しています。阪神間の皆様には、ぜひ見ていただき、中に入っていだきたい川です」



   福井県内水面総合センター
 
 ■開館時間/9:00〜16:30
 ■入館料/無料
 ■休館日/月曜日(祝日の場合は翌日休)、年末年始
 ■TEL /0776-53-0232