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   「春の小川」をあちこちに!
 
鎌谷川
 次に、鎌谷川のすぐそばで、「NPO法人コウノトリ市民研究所」代表理事の上田尚志(ひさし)さんに、その活動内容などを伺いました。名称からすると難しそうに聞こえますが、実は楽しく自然観察を続けている皆さんのようです。
「コウノトリをシンボルに掲げながら、市民レベルでできる生き物調査をやっています。こういう小川や田んぼのようなところで活動をしています」

 活動を始めたきっかけを伺いました。
「10年ぐらい前、小さなグループで生物調査を始めていたんですが、ここにコウノトリの郷公園ができるのをきっかけに市民研究所を作りました。登録メンバーは70家族以上で、行事には子供を中心に100〜150人ぐらいの参加があります。活動としては、植物ならタンポポや彼岸花、動物ならメダカやアカトンボなど、身近な生物の分布を調べて、生き物地図のようなものを作っています。あと一つは『田んぼの学校』で、休耕田に水を張ってビオトープを造り、そこの生物調査を子供たちと一緒にやっています」


鎌谷川での生物調査
写真提供: コウノトリ市民研究所
 調査で分かってきたことは何でしょう。
「ビオトープはコウノトリの餌場ですが、餌となるカエルやドジョウがすごく増えてきたことが分かりましたね。川での調査でも、メダカやタナゴが非常にたくさんいることが分かってきました。また、ビオトープ調査のため、休耕田に水を張るとカエルやドジョウがものすごく増えるということがあったので、そういうデータをコウノトリの放鳥のためにも使ってもらいました。とくにトノサマガエルに関しては、『中干し』という田んぼの水を抜く時期にオタマジャクシ状態のため、それを少し遅らせてもらうとちゃんとトノサマガエルになるということが分かりましたので、そうするように提案したところ、農家の皆さんが協力してくださるようになりました」


ビオトープで泥んこになる子供たち
写真提供: コウノトリ市民研究所

 今後も含めて、いろいろ思いがあるようです。
「私たちはコウノトリの野生復帰を通じて、身近な自然がもっと豊かになったらいいな、だからそういうことを研究しようと、活動を続けています。今後は、ここでやっていることがもっと広がって、それぞれの地域でできるだけたくさんの子供たちが自然に触れることができるような、そういう場ができたらいいと思っています。『春の小川作戦』という名前を付けて提案していますが、それぞれの集落ごとに春の小川のような場所、子供たちがお母さんやお父さんに連れて行ってもらわなくても、自分たちで遊べるような場所を、ぜひ造って欲しいなと思っています」
 

大空を舞うコウノトリの姿を見たいものです。しかし、何よりも元気に自然の中で生きて欲しい。そして、ゆくゆくは野生のコウノトリがこの豊岡の地で自然に住み着くようになれば。そこは、人にとっても自然に帰れる場所になるのではないでしょうか。