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大空に舞うコウノトリが、円山川に映える日。
兵庫県豊岡市。ここ豊岡は日本における野生のコウノトリ最後の生息地。長年、域をあげてコウノトリの保護と増殖が続けられてきて、いよいよ今月、人工飼育されている118羽のうちの一部が自然に帰されます。コウノトリたちは、果してうまく生きられるのでしょうか。


円山川(兵庫県豊岡市)

 頬をなでる風も、秋の気配を感じさせます。円山川は、いつもながら大変豊かな水をたたえていて、堤防上で後ろを振り返ると、支流の一つである六方(ろっぽう)川と、その六方川と合流している鎌谷(かまたにがわ)川も見え、それらも水が満々としている様子がうかがえます。さて、豊岡盆地の大空を舞っていた野生のコウノトリは、1971年を最後に、姿を消してしまいました。今月、人工飼育されてきたコウノトリが自然に帰されますが、それを「自然放鳥」と言うそうです。9月24日に、最初の自然放鳥が行われ、24日と25日には、『第3回コウノトリ未来・国際かいぎ』も行われるようです。
 

   おめでたい鳥の、おめでたい“巣立ち”。        <円山川の地図はこちら>

 


公開ケージのコウノトリ

 まずは、「兵庫県立コウノトリの郷公園」にやって来ました。鎌谷川沿いに広がる山や谷などを利用して造られていて、入り口付近にある公開ケージではコウノトリの姿を見ることができます。副園長の臼井正行(まさゆき)さんにお話を伺いました。昔、地元の人たちからツルと呼ばれていたこともあるコウノトリは、おとなしい鳥です。
「声帯が退化してますので鳴き声がなく、くちばしを重ね合わせてカタカタカタというような音を出してコミュニケーションします。コウノトリとツルとは遠い関係で、むしろサギの仲間に近い鳥です。ツルと同様にめでたい鳥として扱われてきましたが、子供を運んでくるというのはヨーロッパの民話で、日本では一度ペアになるとずっと添い遂げ、毎年、繁殖を続けることからそう扱われているのだと思います」

子育てをするコウノトリ
写真提供:兵庫県立コウノトリの郷公園

 翼を広げた時の大きさはどれぐらいなんでしょうか。
「大体2mぐらいです。体重は雄が5〜5.5 kgぐらい、雌が4.5 〜5kgぐらいです。水中ならドジョウや小魚、カエルなど、草むらならバッタやイナゴなどの昆虫類を食べる肉食の鳥です。本来は、ロシアのハバロフスク地方と中国の南部辺りを渡っていた渡り鳥でしたが、豊岡盆地には渡りをやめて留鳥となった鳥が長年いました」

  保護運動はいつごろ始まったのでしょう。
「数が少なくなりはじめた昭和30年に保護運動が始まり、昭和40年には雌雄のカップルを捕獲して人工飼育し始めました。長年繁殖には至りませんでしたが、昭和60年に旧ソ連のハバロフスク地方から寄贈された6羽のコウノトリのなかにペアが誕生して、初めて繁殖に成功し、平成元年に2羽のコウノトリが誕生しました」


大空に舞うコウノトリを早く見たい!
写真提供:兵庫県立コウノトリの郷公園

 野生のコウノトリがいなくなった原因は何だったのでしょう。
「いろいろありますが、一つには強い農薬の使用があったと思われます。餌となるドジョウや小魚、カエルが、また、それらが食べていた水生昆虫などがいなくなって、食物連鎖の頂点に立つコウノトリが生き残れなくなったと考えられます。最近、豊岡周辺では環境創造型農業が進んでいて、農薬を使わない田んぼが多くなってきました。田んぼ近くの水路にもさまざまな生き物が戻ってきているし、河川や河原も奇麗になり、コウノトリの餌が生きられるような浅瀬や湿地などの自然再生が進んでいるので、野生に帰しても大丈夫だろうと思っております。平成14年8月には野生のコウノトリが1羽渡ってきて、そのまま3年間も豊岡に住み着いています。取り組みが正しかった証明です」

*コウノトリの放鳥は9月、無事に行われました。



  兵庫県立コウノトリの郷公園

 ■開園時間/9:00〜17:00
 ■休園日/月曜日(祝日の場合は翌日)、
         年末年始
 ■入園料/無料
 ■TEL /0796-23-5666