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  「お札のふるさと」、越前。  
 

和紙人形(和紙の里会館)

 次に、和紙作りについて勉強するため、「和紙の里会館」「卯立(うだつ)の工芸館」「パピルス館」を訪ね、3館の館長の加藤良夫さんに伺いました。まずは和紙の里会館から。
「1階では越前和紙と川上御前の関わりなど、2階では道具や紙の資料、歴史などを展示しています」
 2階に「お札のふるさと」という展示コーナーがあります。
「日本最初の紙幣は越前で造られました。福井藩が藩札を初めて発行したんです。均質な紙質、丈夫さ、木版印刷した際の保存性、大量の紙を一気に漉(す)ける、その4条件を満たすのはここだけでした。他藩からも注文があり、藩札は全国で造られるようになります。明治になると政府が全国共通の紙幣『太政官札』を造ることになり、明治2年に越前で3千万両もの太政官札を漉きました。また、昭和15年から約10年間は、満州の五円札や日本の百円札、千円札はここで漉かれました。最近では地域振興券も漉いています」



ギネスに登録されている世界一大きな和紙

 偽造防止技術についても伺いました。
「最高の技術が『黒透かし』です。一般的な白透かしとは正反対の方法で、紙幣以外に入れてはいけないことになっています。越前和紙の職人が東京で開発しました」
 もうひとつ驚くのが、巨大な和紙の展示です。
「『平成大紙(たいし)』で、7m12cm×4m30cmの一枚すきの紙です。『流しずき』では世界一の大きさで、ギネスブックに登録され、一枚150万円といわれています。初めて大紙を作ったのは、『越前で漉けない紙はない』と豪語した職人の岩野平三郎で、その気迫が後継者たちに伝わって平成大紙を生み出したんです。だから越前和紙の特色は、ふすま紙に代表される3尺×6尺の大きな紙。日本で漉いているのはここだけです。また、多種多様な紙を漉くのも越前の特色です。今立は自然の谷の水が軟水で中性に近く、非常に柔らかくてすばらしい紙が出来ます。岡本川の水は、紙すきの水としては日本で最高の水です」



人間国宝の伝統工芸士に紙すきの指導を
受ける子供たち(卯立の工芸館)

 和紙の里会館から卯立の工芸館へ。ここまで「和紙の里通り」が続いていました。
「和紙を輸送した電鉄跡を整備した通りで、岡本川の水でせせらぎも造りました。昔から川の水に感謝し、水の神様にお礼をする『河濯(かわそ)さん祭』をしていましたが、川が改修されてそういう雰囲気が消えて途絶えていました。しかし、このせせらぎの完成により復活し、今年で3年目になります。一方、卯立の工芸館は、250年ほど前の紙すきの家を移築した建物で、越前和紙の伝統や技術を後世に伝えていく施設です。道具を復元し、伝統工芸士の方々が紙すきの技を披露しています。後継者の研修も行います」


パピルス館で紙すき体験をする久保佳代


 最後はパピルス館です。
「紙すきの体験施設です。費用は500円から1000円で、色紙、名刺、はがき、ランチョンマットなどを漉きます。押し花も用意しています。外国の方は花を散らしてタペストリーのような装飾品を作りますが、日本の方は“わびさび”の伝統があるため、花もワンポイントで入れたりしています」

 

  和紙の里会館 卯立の工芸館 パピルス館
 ■開館時間/9:00〜16:00
 ■3館共通入館料/大人200 円、小中学生100 円
 ■休館日/毎週火曜日、年末年始
 ■ TEL/0778-43-1629
 


番組取材後、福井豪雨が発生し、今立町大瀧地区も大きな被害を受けました。被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。