ホーム パーソナリティ紹介 これまでの放送-放送日から検索 これまでの放送-地図から検索 番組あてメール ラジオ大阪

 



  名水「離宮の水」。   
 

離宮の水を求める人々

 伏偶舎郷土玩具資料館から京都方面に5分ほど歩くと水無瀬神宮です。有名な水があります。「水無瀬神宮」禰宜(ねぎ)の水無瀬努さんに伺いました。
「元々風光明媚な土地で、代々天皇の離宮、今でいう別荘が建てられていました。とりわけ後鳥羽上皇はこの地を好み、船で淀川を下り、和歌を作り、蹴まりや狩りをする離宮を建造しました。上皇は隠岐で生涯を閉じましたが、お隠れになる13日前、『水無瀬で我が後世を弔ってほしい』と置文(遺書)を書いています。その遺言に基づいて約800年前に御影(みえ)堂を建てたのが当宮の始まりです。元々は上皇の御堂でしたが、上皇が文武に優れていたため、武将や天皇の崇敬を集め、神として祭られ神宮になったわけです」



茶室は重要文化財指定
 
 名水で有名な水無瀬が“水が無い”とはどういう理由なのでしょう。
「諸説ありますが、“水が無い”として逆にあることを示しているわけです。水無瀬川は2週間も雨がないと流れが途切れるほど水量が少なく、水が無いと思ってしまいますが、実は地下に水無瀬川の伏流水といわれる豊富な水が眠っています。それを“水が無い”として、水があることを示しているといわれています。その伏流水『離宮の水』は、大阪府下では唯一環境省の全国名水百選に選定されている水です。昔から神に供える神饌(しんせん)の水でしたが、神様の水だということで、今も多くの方がくみに来られます」


茶室にはにじり口がなく、天井には10種類の植物を使用

  飲むと、まろやかでサラっとした味。「離宮の水保存会」もあるそうです。
「地域の有志の方や企業が集まり、保存活動をしてくれています。年2回、清掃奉仕として水まわりを含めて境内全域を清掃していただいています。また、他の地域の名水保存活動の活動内容について勉強されています。近くのサントリーさんに保存会の会長を引き受けていただいている関係で、水質検査もお願いしています。昔は、地域全域が100%地下水で水道水を賄っていました」
 水無瀬神宮にはユニークなお茶室があります。
「お茶室は草庵造りです。にじり口も無く、他に類を見ません。そのお茶室を使うわけではありませんが、月1回、第2日曜日に月釜としてお茶会を開きます。流派やお茶の種類にとらわれず、一般の方にお茶を楽しんでもらうという趣旨です。裏千家、表千家、官休庵とさまざまな流派の方にお茶を立てていただいています」
 

    水無瀬神宮・茶室
   ■拝観料/500円
    *拝観のみ可能、5名以上で事前予約必要
 
    茶席<月釜> ■日時/毎月第2日曜日
   ■料金/一人1000円 *お茶、菓子付
   ■TEL/075-961-0078


歴史のある町、大阪府島本町で水無瀬の水に注目しました。“水が無い瀬”の名に込められた奥ゆかしさ、日本人の心に触れたような気がします。