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  川魚の王者、アマゴを育てる。    
 

アマゴの養殖池がたくさん

  水がないと絶対に育たないもの、次はアマゴです。アマゴは清流にしか生息しないといわれる、おいしい川魚の代表選手。そのアマゴを川原樋川の水で養殖している方がいらっしゃいます。大股漁業生産組合組合長の津田清さんです。池がたくさんありますが、今日は水が少し濁っているのでしょうか。
「昨日からの雨で川が増水して水が濁っとるんです。この時期、出荷はほぼ終わっていて、成魚は地元の料理用や加工用に残してある程度です。池はこれから全部、稚魚でいっぱいになります」
 池に寄ると稚魚が集まって来ます。数はどれぐらいでしょうか。
「全部で何匹くらいかは分かります。採卵して孵化(ふか)盆に並べる時、孵化盆1に対して卵が何個か分かり、孵化盆何枚で何匹という計算ができます。今、大体110万匹ほどです」



アマゴの稚魚たち
 この辺りは昔からアマゴの生息地なのでしょうか。
「昔はこの川もアマゴが多く生息し、地元でも釣りを楽しんでいましたが、道路が整備されて釣り人が増え、道具も発達して、かかりにくいというアマゴも釣り上げられて少なくなりました。なんとか養殖できないかと、池を作って本格的に始めたのが昭和45年です。採卵は毎年10月中旬、遅い時で下旬から11月上旬にかけて親魚から卵を取り出し、孵化盆、孵化槽の順で孵化させます。大体600℃が積算温度で、水温10度として60日、正月過ぎには完全に孵化します。その後、屋内の餌づけ槽で餌づけし、完全に餌を食べるようになって体長5cmぐらいになるころ、外の大きな養殖池へ移します。そして早く成長する魚を遂次選別し、早い魚で9月には初出荷します。以後、出荷を続け、河川放流最盛期の2月中には、ほとんどを出荷します」


アマゴへの餌づけ

 難しい点も多いことでしょう。
「始めた当時はいい配合飼料がなく、牛の肝を擦りつぶしたり、卵の黄身を絹ごししたりと、いろいろ苦労しました。栄養面を考えて、山でヨモギを摘んできてすり込んだりもしました。今はいい飼料が出回り、楽に養殖できます。一番難しいのは病気ですわ。狭い所に魚がたくさんいるためストレスで病気にかかります。ここは水質も良くて病気は少ないんですが、たまに菌性のエラ病やせっそう病が出ます。池を清潔にすること、予防と早期発見が大切です。三重大学水産学部で淡水魚の増殖コースを専攻した息子が帰り、よく面倒を見てくれるので、大きな病気の被害はまだありません。川原樋川については、自慢できる川です」


奈良県野迫川村を訪ね、川原樋川の水で育てる沢ワサビとアマゴの話を伺いました。ワサビの茎をかじりましたが、辛くありませんでした。熱を加えると辛味が出るものの、密封せず放っておくと辛味が飛ぶそうです。