ホーム パーソナリティ紹介 これまでの放送-放送日から検索 これまでの放送-地図から検索 番組あてメール ラジオ大阪

 



  よみがえった「守山ボタル」。    <野洲川の地図はこちら>
 

野洲川(守山市)

 琵琶湖の東側、守山市に来ました。JR守山駅から琵琶湖方面へ2〜3km、市民運動公園の中に「守山市ほたるの森資料館」があります。
 琵琶湖に注ぐ川は120本。流れ出る川は瀬田川1本のみで、下流で淀川となります。琵琶湖は心臓、淀川は動脈といわれますが、その心臓や動脈の元になっているのは、120本の川であり、その支流、さらには川とはいえないような水の流れなどです。それが琵琶湖に注ぎ、近畿の人たちを支えています。
 120本のうちの一つ、守山市を流れる野洲川が育んだ「守山ボタル」は、国の天然記念物指定第1号。一度絶滅したものの、ここ「ほたるの森資料館」でよみがえっています。



資料館のすぐそばを流れる川
ホタルが飛び交うという
 館長の山川瀧永(たきなが)さんに伺いました。守山ボタルは野洲川の伏流水に育てられたとのこと。
「鈴鹿の山から流れて来る野洲川は、昔はもっと草津寄りで、暴れ川でした。それが徐々に米原方面に移動し、今の流れになりましたが、砂の堆積(たいせき)して氾濫(はんらん)するため、みんなが土を盛って土手を上げたので天井川になり、そのため土手の下の砂地から水が浸透し、民家でも掘れば水がわき出るようになりました。伏流水は水量も水温も一定で生物の生息に適し、カワニナやホタルが成長したわけです。守山ボタルは平均体長3cm、幅9mmと大きく、明治時代、川端を歩く時はちょうちんがいらず杖だけでよかった。草むらのホタルをトントン叩けば光ったからです。坪あたり300から350匹いました。有名になったのは江戸時代で、料亭やお祭りのお土産として流行り、日本各地や外国からも注文が来て、ホタル問屋が登場して乱獲が起こったんです。それを防止するため、大正13年に天然記念物指定第1号を受けましたが、乱獲は昭和の中ごろまで続き、加えて川の水が汚れてホタルやカワニナが生息できなくなり、ついに絶滅しました」


資料館のホタル(メス)

  なぜ復活したのでしょう。
「野洲川は琵琶湖に流れ込みますが、その琵琶湖が汚れてきました。窒素やリンが流れ込み、赤潮、アオコが発生したんです。川の水の問題です。滋賀県も川を奇麗にする必要があると昭和54年ごろから動き始め、徐々に水が奇麗になり、カワニナが戻り、ホタルも戻ってきました。資料館で育てたホタルの幼虫は、2月に川に放つ一方、室内には川の一部を自然な形で作った水槽があり、その中にも放ちます。それで室内も屋外も同じ時期にホタルの成虫を見ることができますが、屋内には雨でも昼間でも見ていただける観察装置も作っています」

 
  守山市ほたるの森資料館
 ■開館時間/9:00〜16:30
   (6/20までは21:30まで開館)
 ■休館日/毎週火曜日
  (6/20までは午前中のみ休館、13:00から開館)、
  祝日の翌日、年末年始
 ■入館料/無料
 ■TEL/077-583-9680


滋賀県に琵琶湖と野洲川を訪ね、多くのことを学びました。次は野洲川で愛をささやく守山ボタルの姿を見てみたいものです。