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水が心を育み、ホタルを復活させた。
滋賀県大津市浜大津、琵琶湖のほとりに来ています。「近畿の水がめ」として淀川流域の多くの人々の暮らしを支える琵琶湖は、滋賀県の人々にとって県の面積の6分の1を占める生活環境そのもの、言葉に尽くせないほど大切なものです。今日は、その琵琶湖での子供たちの体験学習と、琵琶湖に注ぐ野洲川が育んだホタルを訪ねます。



  琵琶湖、船上スクール。     <琵琶湖の地図はこちら>
 

琵琶湖(大津市)

 大津市浜大津の「滋賀県立びわ湖フローティングスクール」に来ました。どんな学校なのかを、所長の今西陽向(ようこう)さんに伺いました。
「滋賀県所有の船『うみのこ』を使って学習する学校です。船は全長65m、幅12m、高さ20mで、定員が240人です。1983年に就航し、翌年から本格的に学習航海を始めました。対象は滋賀県の小学校5年生全員で、これまでに34万人の子供たちが乗りました。1泊2日で船に乗り、湖水の調査や湖岸に下りての水辺の学習、水生生物の学習といった体験的な学習をしますが、活動内容は各学校の先生と相談します。平均160人、多い場合は6〜7校の学校が乗ってきます。他校の子供たちと友達になれ、琵琶湖の勉強ができるため、子供たちはワクワクしながら乗船し、満足して下りていきます」



「うみのこ」
写真提供=びわ湖フローティングスクール

 2日間のプログラムについて教えていただきました。
「子供たちは学校の最寄り港から乗船し、午前10時に出航します。開校式、オリエンテーション、避難訓練を行い、昼食後は船内での琵琶湖の環境学習、港に下りて琵琶湖の勉強などをします。午後5時から夕食、7時から学校間の交流活動を行い、10時消灯です。2日目は、午前6時起床、7時半から朝食。午前中は班ごとに環境学習や交流学習を行います。6月から10月は、船に搭載しているカッターボートを10人ほどで漕ぐ『カッター活動』という海洋活動の訓練を行います。『うみのこ』以上に湖面に近づけるので、琵琶湖の水や風を直接感じてほしいと願っています。昼食後は、船内の掃除や学習のまとめをして、閉校式を行い、午後3時半に船を下ります」



カッター活動
写真提供=びわ湖フローティングスクール

 環境学習とはどんなことをするのでしょう。
「琵琶湖の水と自分たちの地域の川の水や水道水とを透明度で比較したり、小さな生物やプランクトンを顕微鏡で調べたり、最近では水草ではがきを、ヨシで笛やペンを作る活動もします。もちろん、琵琶湖の周囲や島の様子を展望することなどもします」

 年間、何回行われているのでしょうか。
「本年度は90回、約1万4000人の子供たちを乗せる計画です。船に乗る『児童学習航海』が、本フローティングスクール事業の中心的部分です。終了後、各学校で事後学習を進めてもらっています。学習を更に続けたり、思い出を絵や作文で表現してくれたりしています。送ってもらった作品はホームページで公開しています。琵琶湖について物知りな子供を作るのではなく、この学習が地域での生活に生かされ環境に気を配る、そんな子供たちなり、大人へと育ってほしいと思っています。滋賀県では琵琶湖を『母なる湖』と呼んでいて、県民は琵琶湖を“ふるさと”だと思っています。琵琶湖を預かる者として、環境に対する意識は高いと思います」