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   「水の郷」きっての名水。
 

瓜割の滝

 上中町は国土交通省「水の郷百選」に選定されていますが、なかでも名水として名高いのが「瓜割(うりわり)の滝」です。天徳寺境内の奥に広がる「若狭瓜割名水公園」の自然の森を縫うようにこの滝は流れていて、環境省「名水百選」にも選ばれています。水はパイプから出ているのではなく、川から直接くんで飲みますが、味は無味無臭ではなく、これこそ“自然の味”かもという感じがします。「上中町語り部」で、上中町文化財保護審議委員会委員長の中塚政雄さんに伺いました。
「水は岩の間からこんこんとわき出ています。味は、地元の方が『ちょっと酷(こく)がある』と表現しているように、普通の水とは違うようです」

自然の森を縫うように流れる名水
 わき出ている所はどこでしょう。
「雪で見えにくいんですが、水がこんこんと出ている奥に岩があり、上にお不動さんが祭られています。そこがわいている場所です。以前、ここは水が出ている『水の森さん』と呼ばれ、大勢がお参りに来ました。『瓜割の滝』の名はそんなに古くなく、文字通りスイカやマクワウリを冷やすと割れるほど冷たいことから、名付けられたといわれています」

 今日はむしろ温かいというか、程良い加減です。
「深い所から出てきている水は、やっぱり温かいですね。今日はそうでもありませんが、湯気が上がっている感じの時も多いんです。多くの人がこの水をくみに来て、家庭でお茶を入れたり、ご飯を炊いたり、煮炊きなどに使ったりしています。私も時々くんで帰ります」


ここで名水を容器に詰めて帰れる
 伝説があるそうです。
「1300年ほど前の養老年間、天徳寺を開いた泰澄(たいちょう)大師が、寳篋(ほうきょう)山に登って馬頭観世音菩薩像を刻み、神水のある場所に庵を造ろうとしたんですが、どうしても水がありませんでした。ところがある時、南の古い巨木の間から頭に白蛇をまいた龍馬が飛来し、『我は天竺(てんじく)の人、八大龍王なり。観世音菩薩の威光と大師の御徳を感じ、天竺の水を移して、永久にここに泉をつくり、天下泰平五穀豊穣を祈る』と言ったそうです。そして、八大龍王が開いた岩くつの中で、大地が割れ水がわき出たといわれています。岩に付いている赤い部分は赤藻ですが、八大龍王が亡くなった時に血で染まったという伝説もあります」

 ここは自然が豊かで空気が奇麗です。
「この土地に生まれ、この土地で朽ちるつもりですが、いいところだと感謝をした生活をしております」


福井県上中町の北川水系の水に親しみました。熊川宿も瓜割の滝も有名ですが、川という自然の恵みが生活と密着し、観光の名所としての土台になっていると感じました。