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水と街と生活が調和する、北川流域の宿場町。 鯖(さば)街道の宿場町だった福井県上中町の「熊川宿」は、今も古い家並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区になっています。家々の前を流れる用水路「前川」に流れる水は、北川水系の水。滋賀県の山間部を南下する天増(あます)川は、寒風川と合流して90度ターンし、北川と名を変えて上中町を貫き、小浜市で遠敷(おにゅう)川と合流して日本海に注ぎます。この前川には、どんな“川ものがたり”があるのでしょうか。 |
宿場町の用水路。 <北川の地図はこちら> | |
熊川宿は、ほぼ東西に細長く広がる鯖街道沿いの街。その北側に流れているのが北川で、東が上流になります。熊川宿の真ん中辺りで、河内(こうち)川が南から北へ街を突き抜けるように流れ、北川にほぼ直角に合流しています。前川はその熊川宿の中を流れる幅1mあまりの用水路です。熊川宿や前川などについて、「若狭熊川宿まちづくり特別委員会」副会長の宮本一男さんに伺いました。熊川宿は三つに区分されています。 ![]() |
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「1600年の関ヶ原の戦い以前から部分的にはあったと思います。当初は生活用水、その後、街道が開けていく中で牛馬にも使われ始め、当時は中ノ町の今の道のど真ん中を流れとったといわれています。今は家の前に流れているから『前川』ですが、昔は両側から利用できるよう中央に流れていました。百何十年前から、階段のような『かわと(川戸)』で水面へ下り、『芋車』と呼ぶ里芋洗い器を作って利用してきました。今も一部の方が作っていますけど、昔は生活に密着していて、私らも子供の時分、夏は前川へ足を浸けて涼むなどしていました。以前は雑排水が流れ込んでいましたが、今は上下水道完備で川底の石が見えるほど奇麗です」 芋車には羽根が付いていて、水が当たって回っています。中に入れた芋の皮はどうめくれるのでしょう。「打ってある竹と竹のすき間が4〜7mm開いていて、泥や砂利の付いた里芋を入れると、竹の角に当たり、取れたてなら15分ほどで奇麗に洗えます」 |
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「河内川の水が来ている中ノ町と下ノ町は、水温が低いのでカニ類や(巻き貝の)ニナがいます。河内川と北川とでは、北川の方が水温が高いので、私ら小学校時分は北川で泳ぎました。水浴びを『浴び』と言い、9月15日ぐらいまで『浴び』に行って、ウグイを手づかみで取っていました」 若狭熊川宿まちづくり特別委員会の活動について伺いました。「平成8年の『重伝建』選定から街並みを守る活動が始まり、今の会長で3代目ですが、勉強会は既に20年ぐらい前から、意見の交換会は15年ぐらい前からが始まっていて、大学の先生方にも歴史的街並みを推薦していただき、滋賀県や岐阜県、長野県、遠く秋田県や九州へも行って、勉強し、ハード面、ソフト面を考えています。古い街並みの安らぎや癒やしは、ビルの谷間ではなかなか得られません」 |
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「小学校の生徒に質問されて、いつも弱っています。クマが川の中を歩いとったんやろ、ほんで誰かが熊川って付けたんやろ、とごまかしています。はっきり分かりません」 熊川という川はないようですが、熊川宿は、面格子や虫籠窓(むしこまど)など特徴ある町家が並び、資料館「宿場館」もあって、映画のロケ現場かと思うぐらいの素敵なところです。 |
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