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台風23号の被害から学ぶこと。
兵庫県豊岡市、円山川の河口から13.2km地点の立野(たちの)地区。ここは昨年の台風23号で堤防が決壊した場所です。出石町でも堤防が決壊しました。明日1月17日は「防災とボランティアの日」。そこで今回は、豊岡市と出石町を訪ね、台風23号の際に大活躍したボランティアの活動についてお送りします。


   ボランティアが集結。            <円山川の地図はこちら>
 


円山川(豊岡市立野地区)の堤防決壊現場
写真提供:近畿地方整備局豊岡河川国道事務所

 まずは、昨年10月の台風23号の際の豊岡市でのボランティアの活躍ぶりについて、豊岡市社会福祉協議会のボランティアコーディネーター、安田真明さんに伺いました。
「全国の自治体に必ずある社会福祉協議会に、ボランティア活動の支援センターがあります。そこにコーディネーターが必ずしもいるとは限りませんが、兵庫県下の市町村には1名ずついます」


ボランティアたちの活動ぶり
写真提供:豊岡市社会福祉協議会

 豊岡市では、どう体制を整えたのでしょう。
「当初は、この会館も水害で電気などが機能せず、市役所に隣接する中央会館にセンターを立ち上げましたが、そこも手狭になり、総合体育館の広場のテントで業務を続けました。最初、NGOやNPOが入ってきましたが、道路は寸断され、鉄道も止まったため、一般のボランティアが豊岡に入れませんでした。ニーズは増えるが、ボランティアが集まらない。そこで、テレビや新聞などのマスコミにPRすると、平日でも人が集まるようになりました。一番多かったのが10月31日(日)の2143名で、平日でも700名以上が来ました。また、日本赤十字社のバイク隊や重機持参で建設業界の人も駆けつけてくれました。来てくれたのは、但馬管内10%、市内10%、県内45%、近畿2府4県20%、その他全国から10%です。団体が多くて、それぞれバスをチャーターしていました。『ボランティアバス』の先駆け的なケースになったようです」



サテライトを設置
写真提供:豊岡市社会福祉協議会
 
 サテライトを設置したとのこと。
「センターで受け付け、出動するのではなく、とくに被害が大きい各地域に本部機能を移転して、現地で直接ニーズを受け、ボランティアがその場で動いてタイムロスをなくしました。経験者から知恵をいただいてそうしたのですが、今回は多くの団体がセンターの運営に協力してくれましたので、我々は一歩下がって、皆さん方の意見を尊重して共同運営スタイルで行いました。行政主導より、みんなで考えながら運営した点がよかったと考えています。我々は水害の経験がなく、各地のNGOやNPOの経験者の知恵が力を貸してくれました」


ボランティアたちはバスで続々つめかけた
写真提供:豊岡市社会福祉協議会

 この災害で学んだ点を伺いました。
「常に備えが必要ということです。日ごろから、市民の皆さんは避難所の場所や災害時にどうすればいいかを、また行政や我々のような団体もするべきことをシミュレーションすることです。そして、何より大事なのが地域コミュニティです。『あの人が避難所にいない。どうしているのか見に行こう』と、日ごろの付き合いが頼りになります」

 2ヶ月
以上たった今の状況が気になります。
「まだ地面が乾いていないので、ふたができない状況で、ほとんどの家で床を上げたままになっています。床を上げていれば、家の中に寒い空気が入ってきますから、とくに高齢者や障害のある方の健康管理が心配です」

 福祉協議会もまだ暖房が効きません。1日も早い復興を祈ります。