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国土交通省近畿地方整備局・藤本貴也局長 新春インタビュー
2005年最初の放送の今回は、国土交通省近畿地方整備局長に伺います。福井豪雨や台風23号など、昨年、近畿は大きな災害に遭いました。今年は阪神・淡路大震災10周年。防災について、もう一度考える時かも知れません。


   記録的な豪雨が続いた2004年       <円山川(立野地区)の地図はこちら>
 

藤本貴也局長にインタビュー
久保 昨年は本当に雨が多く、しかも、すごい降り方でしたね。
藤本 観測史上最多、10個の台風が上陸し、しかも雨が集中的に降りました。時間雨量100mm以上の雨の回数は、20〜30年前まで全国で年に1〜2回でしたが、ここ10年は約5回、昨年は7回と、どんどん集中豪雨が多くなっています。近畿でも7月の福井・新潟豪雨では福井県嶺北地方で猛烈な雨が降り、美山町では7月18日午前6時に観測史上最高の時間雨量87mmを記録しました。降り始めから午前10時までの雨量は285mmに達し、福井市内で足羽(あすわ)川が決壊して、死亡不明5人、浸水家屋約1万4千戸の被害をもたらしました。

久保 台風23号では円山川や由良川が氾濫(はんらん)しましたね。
藤本 10月20日に上陸した台風23号は、近畿北部、東海、甲信越に300mmの雨を降らせ、兵庫県但馬地方北部にある和田山町の20日の総雨量は225mmで、これは10月1カ月間の平均降雨量の約2倍にあたります。1時間に20mm以上の雨が6時間も続く豪雨となった結果、円山川と支流の出石川が決壊し、兵庫県豊岡市や出石町で4人が亡くなり、円山川下流の1市3町で約1万2千戸の家屋が浸水しました。


円山川が決壊した豊岡市立野地区
写真提供:近畿地方整備局豊岡河川国道事務所
久保 由良川はどうだったのでしょうか。
藤本 由良川も台風23号に刺激された秋雨前線で19日から雨が降り始め、20日午後には1時間に40mmを超える激しい雨が流域に降って、京都府福知山市では20日だけで250mmの雨を観測しました。これも10月1ヵ月間の平年降雨量の約2倍です。また、そのすぐ下流の大江町では、浸水で役場が1.6mぐらい水をかぶって災害対策本部が避難しなければならなくなりました。さらに舞鶴市では、水位上昇でバスが立ち往生して、37名の方が屋根に逃れる事態となりました。

久保 今後は何が必要なのでしょう。
藤本 昨年の災害の特徴は、記録的な集中豪雨が発生したことです。その結果、堤防決壊という大災害が起きました。堤防が決壊すると多くの生命財産が失われますので、ダムや遊水地、堤防など治水施設の整備が必要です。また、水があふれても決壊しないように堤防を強化すること、決壊しても壊滅的な被害にならないようにすることが必要です。一方、ソフト面では、普段から皆さんに川の災害の危険性を知っていただくことが必要です。私どもは、堤防が決壊した際の浸水想定区域図を作成しています。自治体には、それを基に避難場所と経路を示したハザードマップを作ってもらい、日ごろから周知してもらうことが大切です。