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竜田川は伝説に彩られた聖なる地。
お正月にかかせないものといえば、しめ縄です。しめ縄は、不浄なものが入って来ないよう、神棚や玄関に張るものですが、今回は川に張るしめ縄の話題です。奈良県平群(へぐり)町を流れる竜田川は、大和川の支流。生駒山の東のふもとが源流で、生駒市や平群町を流れて、斑鳩町で大和川に注ぎます。この川にどんなしめ縄が架かるのでしょうか。


   正月3日にしめ縄かけ。        <竜田川の地図はこちら>
 

竜田川
 平群町北部の椣原(しではら)、真言宗の寺院・金勝(きんしょう)寺に来ました。国道168号沿いにあり、横を竜田川が流れています。この金勝寺で竜田川にしめ縄のようなものを架ける儀式が行われます。ご住職の佐伯良勝(りょうしょう)さんに伺いました。まずは金勝寺について。
「行基菩薩が開基し、聖武天皇に許可をいただいて建てられたとされています。約1300年の歴史があります。行基菩薩は灌漑(かんがい)用の池を掘り、橋や道路を付けるなどしながら全国を行脚し、途中、春日神社におこもりになった時、夢枕に白髪の老人が現われ、『未申(ひつじさる)の方角に霊地がある、そこに精舎(寺)を建てて衆生を済度せよ』というようなお告げをいただいて、ここへ来られたそうです」


2005年1月3日に架けられた雄綱
(放送後に撮影)

 同じ竜田川でもこの辺りだけ岩が多く、川とお寺の関係が深そうです。
「今は上流から下流まで竜田川ですけど、昔は上流から生駒川、平群川、竜田川と呼はれていて、そのうち平群川だけ、全部ではないがこんな渓谷になっています。他の二つの川にはありません。こんな風景にお寺があるのは、やはり龍神さんが住んでおられたことに関係するのでしょう」

  儀式について伺いました。
「『勧請(かんじょう)の綱かけ』とか『綱かけ』とかいいます。勧請は神聖な場所を指し、また神を呼び寄せるという意味もあります。縄で竜の形を作り、ここが昔の村の入口なので、結界するしめ縄代わりに架けたのでしょう。ただし、魔物の侵入を防ぐだけではなく、龍神は水を司る神なので、五穀豊穣や子孫繁栄の意味もあります。綱にも雄綱(おんづな)雌綱(めんづな)があります」
 


取材時にまだ残っていた
1年前に架けられた雄綱
 1年前に架けられた雄綱には、男性のシンボルが残っていました。
「本堂の下の方の広場で、村人が綱を作ります。そして、綱を架け終わると、綱をかけた電柱の一方のところにある如来さんに、住職が1年の無事を祈願し、お供えしていたお鏡を『とんど』で焼いて、みんなでちょっとずついただいて無事を祈ります。その後、残った境内のわらを全部燃やす『大とんど』を行います。綱かけは毎年1月3日に行われ、朝8時半に来れば雄綱のシンボル作りも見られます。2時過ぎには綱かけに入ります」

  ところで、平群川にある「まぐわの淵」には伝説が残っているようです。
「地元では『まんがぶち』といいます。落差10mほどの滝のところが淵になっています。ある時、農夫が牛を連れて来て、牛に引かせて田んぼを耕す『まんが』というすきの一種を洗っていると、牛が川に引きずりこまれたそうです。ガタロが引きずり込んだといわれています。ガタロはカッパのことで、牛も引きずり込むほどのガタロが出る“魔がの淵”と呼ばれたこともあります」

 
  金勝寺
  ■TEL/0745-45-0110