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   「いね」の伝説。
 

地元で「堀いね」と呼ばれる堀井口井堰
 福知山市立図書館には堀井口堰に関するさまざまな資料があります。地元で「堀いね」と呼ばれる堀井口堰について、館長の塩見行雄さんに伺いました。
「井堰を『いね』と言います。川の水をせき止め、農地の灌漑用水のために水路を造って田畑に配分する、そうしたことの根本となる『井根』ですね」

 このあたりに田んぼが出来た事情を伝える伝説があるそうです。
「由良川と土師川に囲まれた『堀田んぼ』と呼ばれる平野部で、昔から開拓されていましたが、沼地状の所もあったと思います。沼地を乾田化するのは江戸時代で、資料では関ケ原の戦いから50〜60年後に入城した藩主松平忠房の時代に、町人が労働奉仕で乾田化の作業をし、その堀田んぼで出来た米を一宮(いっきゅう)神社に寄進しています。平野部にも高低差があり、川のそばは堤防状で少し高く、その後ろは後背地といわれる沼地状の土地なので、そこを平たんにして水を引いて水田にしたわけです。井堰は水害で破壊されることが多く、何度も修復、改築してきたんだと思います」

記念碑から改築の苦労が読み取れる
 人柱伝説があるようです。
「井堰の基礎部分に人を埋めたという伝説がありますが、実際にそこまではしていないでしょう。それぐらい大事にしているということを伝えていくうち、そんな話になったのだと思います。福知山は山陰、京都、大阪の中間地点で、西国33番札所の巡礼道でもありました。『堀いね』のあたりは大阪街道に通じる道のそばで、巡礼者や旅人の行き倒れも多く、『堀村代々庄屋記録』の中にも記録が残っています。そんな亡くなった方の話も含めて人柱伝説的なものになったのでしょう」

 地元の方は井堰に強い思い入れがあるようです。
「米を作るために『いね』は絶対必要だし、子供のころに用水路でドジョウやフナを取った思い出もあるでしょうし、そういう意味で生活に密着した『いね』だと思います」

 


 
   京都一の露天風呂。
 

広い庭園を望む露天風呂
 福知山温泉本部長家田哲士さん 最後に、堀井口井堰から東へ1km、福知山温泉に来ました。石垣に白壁、中は料亭という感じの立派なたたずまいです。本部長の家田哲士さんに伺いました。
「平成12年11月29日に開業しました。元は武家屋敷で、その後は料亭になっていました」
 近くに養老水公園があります。この温泉と養老水は関係があるのでしょうか。
「このあたりは養老という地名で、旧街道を通る旅人が利用していたわき水を、藩主朽木綱貞が『養老水』と命名したと伝えられています。温泉とは関係ありません。この温泉は1100mほど掘削しているので、わき水とは違った本当の天然温泉です。泉質はナトリウム−塩化物泉の高成分療養泉で、神経痛や筋肉痛、冷え性、切り傷、慢性婦人病に効くとされています。塩分が強く、成分の濃い湯として湯治客にも知られています。露天風呂の他、主浴槽、ヒノキ風呂、泡風呂、足湯蒸し風呂、うたせ風呂、五右衛門風呂、つぼ風呂などのお風呂があります」 

五門風呂の陶器版の「つぼ風呂」
 広大な庭園に露天風呂があります。
「山の借景を利用した日本庭園を間近で見てもらえます。解放感あふれる自然を味わっていだたけるのが一番の売りで、京都一の日本庭園を有する露天風呂と自負しています」

  福知山温泉 養老の湯
 ■営業時間/10:00〜23:00
  *入館は22:30まで
 ■定休日/無休
 ■入泉料/中学生以上700 円、
   小学生以下350 円、2歳未満無料
 ■食事/10:00 〜23:00
   *オーダーストップ22:30 (定食は21:30 )
 ■TEL/0773-27-6000


はんらんで度重なる被害を受けつつ、川と共に生きてきた人々。この土師川が、地元の人にとって愛着のある、親しみ深い大切な川であることが分かりました。