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   これがなかったら、おってもしゃあない。
 

川底が透き通って見える由良川
 由良川のほとりに来ました。川底の小石まで見えるほど透き通った清流です。清流といえばアユ。そこで今度は、美山町の“アユ取り名人”の上林(かんばやし)巽さんに伺いました。上林さんは漁師さんではないとのこと。
「若いころから趣味と実益を兼ねてアユを取ってます。昔からのアユ取りの技術は、『友釣り』、『すがけ漁』、『ひっかけ漁』の三つです」
 ひっかけ漁はどうするのでしょう。
「網を上流から入れて、ぼつぼつ時間をかけてアユを浅い所へ追い詰めていって、ひっかけて取るんです。アユは石や岩の近くにおります。石ごけや岩ごけをしょっちゅう食べて、1〜2カ月で成長して子孫を残します。毎日自分の体重の5倍の餌を食べんかったら、生きられんらしいんですわ。『友釣り』はアユの習性を利用します。アユは一つの石を中心に1m程度の範囲を縄張りにして、他のアユが来たら追い出します。おとりのアユを近付けるとけんかしに来るんで、そのアユを釣るんです。ひっかけ漁だけで年間3000匹前後取れますが、まだまだおりますよ」

重要伝統的建造物群保存地区
「かやぶきの里北村」
 地元では由良川を「美山川」と呼ぶそうです。
「大野ダムの完成が区切りになり、ダムから上流が美山やということで、『美山川』と呼びだしたようです。美山町は昭和30年に知井村、平屋村、宮島村、鶴が岡村、大野村の五つの村が合併して出来た町で、町名は山が美しいさかい『美山町』と付けられたんちゃうかと思います」

 
最近、美山町は「かやぶきの里」としても注目されています。
「観光客がものすごい増えました。町の発表では年間約70〜75万人来ます。平成5年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されてから増え続けています。美山町のかやぶきは『北山型』という独特なふき方です。また集落全体がひな段形になっていて、日本でここにしかないのが選定の理由です。『伝建』指定の集落の維持には文化庁から補助金が出ますが、指定地区の他にもかやぶきの家が230戸ほどあり、保存のために美山町がふき替え費用を半額補助しています」

美山町の人にとってかけがえのない自然
 美山町の人にとって由良川はどんな存在なのでしょう。
「やっぱり美しい空気と緑と清流がなかったら、美山町ではないですね。川を守っていく意識がもっと高くなればと思います。由良川でアユばっかり取っとるんで、冷えて足腰が痛くなりますが、ここにおる以上は動けんようになるまでアユを取るつもりです。これがなかったら美山町におってもしゃあないなあと思います」


京都府美山町を訪ねました。芦生の原生林から発した水が由良川の清流になり、全国有数の大河として日本海に注ぎます。山、川、海と自然は一体で、一つでも崩れるとその美しさが保てません。