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   復活した名水。
 

松か井の水

 中町の北隣の加美町に来ました。国道427号を北上し、杉原川の支流、奥荒田川と並行している県道8号で、神崎町の手前まで来ました。県道から旧道に入った所に、名水「松か井の水」があります。森野義史さんに伺いました。
「途中にあったきつい峠は高坂峠です。昔は生野から播州を経て丹波へ出る街道の一部でした。難所だったため、松か井の水が大変頼りにされていたようです」
 松か井の水は奇麗で、周りを固めた石が自然と調和しています。
「昔から伝わっている水で、下の奥荒田ではお年寄りが『松か井の水』じゃなく『末期の水』と言い、病気のお年寄りが一杯飲めば元気になるという言い伝えもあります」
 一時、水が出なくなったこともあったそうです。
「昭和35年に林道をつけた時、土砂をどんどん落としたため、水が全く出なくなったんです。奥荒田のご年配たちが昔の水を出したいと言うので、県が堰堤(えんてい)工事をした時に掘り出しました。『水の真上に松があった』という言葉を頼りに、掘り当てるのに丸2日。土が5mもかぶさっていましたが、水がバーッと出てきました」


   水は地域の誇り。
 

水を求めて並ぶ人々(新松か井の水公園)


  山を下りて、県道8号沿いの「新松か井の水公園」に来ました。大きな石が横に長く積まれ、岩の間からわき出ている雰囲気で、水が4ヵ所から流れ出ています。
「昭和63年に神崎町へ抜けるトンネルが完成し、トンネルから松か井の水と同じ水質の水が出ました。最初はトンネルの入り口に水くみ場を設けていましたが、危険なため、県と相談して道路沿いにパイプを入れて水を引き、水をくめる設備のある公園を造りました。平成13年の竣工です」



 新松か井の水公園
 この水は奥荒田川の水源、つまり杉原川や加古川の水源でもあります。奥荒田川はどんな存在なのでしょう。
「加美町は自然豊かな町で、住民は山や川に感心があり、杉原川の『川刈り』、つまり清掃に毎年1回は必ず出ます。水が出たことは住民の誇りで、老人会も懸命に掃除してくれます」


兵庫県中央部の中町と加美町に、加古川水系の杉原川、その支流の奥荒田川を訪ねました。中町の伝説と水の関わり、加美町のわき水、改めて水の尊さを感じました。