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信仰の対象にもなった、川の参詣道。 和歌山県新宮市を訪れています。ここを流れる熊野川は、奈良、三重、和歌山の各県を経て熊野灘に注いでいますが、瀬と淵が交互にあるため自浄作用に優れ、河口まで水質がいいのが特徴です。この熊野川が今年の夏、世界遺産に登録されました。 |
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![]() そのルートに熊野川が含まれていると聞きました。 「中辺路の一部になります。滝尻王子から本宮までは山の中ですが、本宮から新宮までは舟で下りました。新宮の速玉大社に詣でて那智山に行き、本宮へ引き返す時も使う往復の重要なルートで、30kmあまりを舟で行き来しました。熊野川は今よりかなり水量が多く、砂利も堆積(たいせき)しておらず、舟を着ける場所もない険しい峡谷を、本宮から4〜5時間かけて下りました。上りは倍近くかかったようです。絵図に描かれている舟は、丸木舟に毛の生えたような準構造船です。皇族は幕で目隠ししましたが、一般の人は裸の舟で危険を顧みずに下ったようです」 |
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「本宮と新宮は熊野川を神として祭ってきた古い社で、信仰のルーツを考える上で熊野川は重要です。本宮大社は日本一雨の多い大峯山系にあり、水を鎮める神としての性格が強く、そのため元々は熊野川の中洲にありました。新宮は速玉大社、速い玉で、急流の熊野川の水の勢いを神として祭ってきました」 新宮から本宮の間に珍しい岩があるそうです。 「浅里地区の昼嶋という川中島は、柱状節理の頭の部分が見えて碁盤の目状になっています。そこで天照大神(あまてらすおおみかみ)と熊野権現が碁を打ったという伝説もあります。また、この少し上に『男根石』と『女人石』があります。和歌山県側に男性のシンボルそっくりの30mの岩が水からそそり立ち、対岸の三重県側の山には女性のシンボルそっくりの岩の裂け目があって向きあっています。そこに船を止めると、“男女”の猿が現れて“過ち”が起こるといわれています」 世界遺産になって、熊野川を訪れる人も増えているはず。 「熊野川は古代から重要な河川交通ルートでした。見事な景観、多様な伝説に出会えます。文化的景観が一番色濃く残っているのが熊野川のルートだと思います。交通システムを整備し、多くの人に利用してほしいですね」 |
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