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命の源に全身で触れる、ひととき。 早々と避暑に来た。京都市左京区鞍馬貴船(きふね)町。地元では、地名も川の名も「きぶね」と濁るのが一般的だそうだ。目の前を流れる貴船川は、水が豊かで澄んでいる。周囲の緑は、したたり落ちるほどたくさん茂っている。貴船川は貴船口駅近くで鞍馬川に注ぎ、鞍馬川は鴨川に、鴨川は桂川に合流し、淀川へと水の恵みを運ぶ。今回は涼しい貴船が舞台だ。 |
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「航海に出る方、水道や酒造、豆腐など水を扱う方。京都らしく和菓子関係。これもいい水でないとおいしくできませんので。井戸を掘る方や埋める方も来られます」 なぜ心願成就の御利益があるのだろう。 「貴船には『気』があります。気力を蓄えると運気が上がり、願いがかなう。水はすべての根源で、きれいな水と自然のあるここに貴船神社が祭られているのは、理にかなったことです。気力が生じる根っこ、山の嶺(みね)ということで、『気生根』『気生嶺』が『きぶね』の名前の由来の一つです。また、もう一つ、水の神を祭るために、玉依姫命(たまよりひめみこと)が淀川から黄色い船に乗って来られたから『黄船』という説もあります。汚れたら水で洗い、疲れは風呂で落とす。水が汚れを払うんですね」 |
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「昔、天照大御神(あまてらすおおみかみ)のお孫さんの瓊々杵尊(ににぎのみこと)が、木花開耶姫(このはなさくやひめ)と磐長姫(いわながひめ)の姉妹のうちの1人との結婚で、妹の木花開耶姫を選びます。磐長姫命は、『私はふられたけど、ここで恋を祈った人には私の力でかなえてあげよう』と、貴船でお鎮まりになったんです。平安の歌人・和泉式部は、夫の浮気に悩んでここへ何日もお参りすると、夫が戻って来ました。それで、縁結びや復縁の御利益があるとされました」 御神水が湧き出ている。飲んでみるとおいしい。 「何千年なのかは知りませんけど、枯れたことがありません。弱アルカリの硬水です。持参の容器で、無料でくんで帰っていただけます。神社でも500円で容器を用意しています」 |
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貴船神社 ■参拝時間/6:00-20:00 ■TEL /075-741-2016 |
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川の音が聞こえる | |
本宮から奥宮、その帰りに縁結びの結社に参るのが習わしだ。今度は結社に来た。ここでも川の音が聞こえる。小さな社の横に納められた天磐船(あまのいわふね)は、船の形の自然石で、やはり船に関わる社だ。 |
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