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至高の水、絶品の酒、子供たちの遊び声。
猪名川は兵庫県を中心に流れているが、淀川とつながる神崎川に合流しているので、意外にも淀川水系の川だ。

  伏流水が香る清酒。  <猪名川の地図はこちら>


猪名川・屏風岩

 やって来たのは、兵庫県猪名川町の中部にある屏風岩。渓流地に、高さ30m、幅100mの岸壁が巨大な屏風のようにそびえ立つ。県道12号沿い、屏風岩橋からの景色は圧巻で、何幅もある灰色の岸壁に新緑の木々の絵が描かれているかのようだ。岩の手前の段差からは、滝のように水が流れている。桜の季節にライトアップされる様子は、きっと幻想的だろう。

 猪名川町木津の川辺酒造。猪名川町唯一の蔵元で、清酒「花衣(はなごろも)」を造っている。こちらの肥爪(ひづめ)忠之さんに伺った。
「五つあった蔵元が、昭和20年の企業統合令で合併して一つの蔵になりました。一番古いのが1777年創業の『李白』ですから、創業226年になります」

 

 

 

 

 

 

 

 




「花衣」の川辺酒造

 酒造は水が一番大事。どんな水を使っているのだろう。
「猪名川には『長寿の滝』という湧き水が出る場所があり、その伏流水を使っています。柔らかくて、お茶やコーヒー、もちろん酒造りにも適しています。ミネラルの少ない軟水です。昔から清酒は硬水が向いているといわれてきましたが、最近、吟醸酒などには軟水の方がいいことが分かってきました」
 同じ水を使っても、昔とは出来上がりは違うのだろうか。
「技術的にかなり改良されています。おいしい酒を造るにはどうしたらいいか、杜氏同士で交流して議論し、昔と比べたら格段においしい酒になっています。これ以上おいしくは、ちょっとならないのではと思います」
 具体的に造り方を伺った。
「昔ながらの造り方です。米を蒸して、こうじを造り、蒸米とこうじと酵母で発酵させて、お酒のもとを造り、それに、蒸米、こうじ、水を3回に分けて入れる『三段仕込み』です。普通の酒で18日ほど、吟醸酒は低温で発酵させて30日ほどで出来ます。仕込んで出来た『もろみ』は、機械で搾るところもありますが、当社は袋に入れて搾っています」

 

 

 

 

 

 

 

 







「花衣」のおいしさの秘密は水

 最近、お酒の造り方が変わってきていると聞く。
「10年ほど前から省略化のために、液化仕込みという方法が出て来ました。米のでんぷんをこうじで糖化させたものを酵母が食べ、副産物としてアルコールが出来るんですが、こうじでなく酵素剤を使って糖分を作ってしまいます。そこへ酵母と、味を出すためのこうじとを加えて、発酵させるやり方です。簡単に出来、米の利用効率も高まります。しかし、『花衣』は昔からの造り方にこだわっています」
  おいしい「花衣」には、受賞歴もあるそうだ。
「平成6年、酒類総合研究所(現在の国税庁醸造試験所)の全国新酒鑑評会で金賞を受賞しました」
 このお酒に使われている「長寿の滝」の伏流水は、いわば猪名川の水。水道水も、やはりおいしいようである。

 川辺酒造有限会社
■TEL /072-768-0003
清酒1升1900円前後、大吟醸2種4合2550円と4300円ほか