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  天然醸造にこだわる。   
 

梅谷味噌醤油の工場

 窪垣内より下流の吉野町宮滝、「梅谷味噌醤油」では昔ながらの醸造法でみそとしょうゆを造っている。梅谷清二さんに伺った。蔵に入るといい香りがする。
「おしょうゆに搾る前のもろみの香りで、発酵が一番盛んな夏前はとくに匂います」

 子供のころからこの香りを味わいながら育ってきた。
「創業は明治初期で、私が四代目です。造り方も、この蔵が造り出してくれる味も、代々変わりません。今いるこの蔵は『もろみ蔵』で、おしょうゆに搾る前の段階、20%ほどの塩水にこうじを仕込んで約1年間発酵させる部屋です。うちは、季節の気温の変化に委ねてもろみを発酵させる天然醸造に祖父の代からこだわっています。人工的に温度調整して3、4カ月で熟成させる方法とは、味がまったく違います。仕込みは、1年で最も気温が下がる今の時期にします。良いこうじはこうじ作りの期間にどんどん熱を持ち、放っておくと自分の熱で死んでしまうので、この時期の冷たい水や空気で冷ます必要があるからです。20本近くの桶を仕込みますが、天然醸造は色、香り、味が1本1本微妙に異なる出来具合になります」



梅谷清二さん
  みそやしょうゆは蔵元だけが造っていたんだろうか。
「おみそもおしょうゆも、元は家で造っていました。歴史的にはしょうゆの醤(しょう)は『ひしお』という調味料で、お坊さんが中国から日本に伝えたものです。それが日本の食文化の中で変わっていきました。おみその上皮にうわずみのようにたまったものが、おしょうゆのルーツです」





 梅谷味噌醤油合名会社
 ■TEL/07463-2-3206

  宮滝は滝にあらず。
 

二百文岩
 梅谷味噌醤油のすぐ裏に吉野川が流れ、少し上流に吉野宮滝がある。今度は、梅谷味噌醤油の梅谷清嗣さんに案内していただいた。
「宮滝は地名で、地名の元になったのが、この辺りの川が、地形のため泡立ち、逆立つ『激(げき)つ所』だからであり、それが滝を意味するからです。昔の本にも『宮滝は滝にあらず』と出てきます」
 昔は川で遊んだんだろうか。
「この辺りは危ないから遊ぶなといわれ、もう少し浅い所で遊びました。やんちゃな子は遊んでいましたけど。江戸時代、ここで飛び込むのをなりわいにしていた人がいて、その時に飛び込む石が『二百文岩』『百文岩』として残っています。ここは伊勢街道で、通った人が『二百文渡すから、あの高い所から飛び込んでくれ』と頼んだんです。一種のショーですね」


宮滝河川交流センター
 下流に建物が見える。
「一昨年12月竣工の『宮滝河川交流センター』です。吉野川を中心に交流の拠点にしてもらうための施設で、展示ホール、多目的ホール、和室などが整っています」

 地元の方にとって宮滝、吉野川はどんな存在だろう。
「恵みの川です。吉野の自然の中で生活できる、その大本が吉野川です」

奈良県吉野町に吉野川を訪ねた。思っていた通り、恵みの川であることが分かったし、歴史上の話も伺うことができた。もっと、いろんな所を訪ねてみたいと感じた。