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よみがえりつつある、この町の“宝物”。
兵庫県加東郡東条町に来た。「テーマパークの町」として知られる東条町は、実は釣り針製造の全国シェアが驚くほど高く、また、酒米・山田錦の産地でもある。その酒米を育てているのが東条川。加古川へ流れ込む一級河川だ。



  川との触れあいが、子供たちを変える。     <東条川の地図はこちら>
 

東条川

 

 東条町立東条東小学校のすぐ横を東条川が流れる。東条東小学校では、この東条川での授業を中心にした「総合的な学習」を、昨年度から正式に始めたという。担当の福井明先生に伺った。
「定期的ではありませんが、年間30〜40時間、東条川での学習をしています。平成10年、当時の6年生が担任の先生と水の学習を始め、水質調査をし、ごみを拾い、それを親や他の学年の子供たちに呼びかけたのがきっかけです」



福井明先生(右)

 どんな授業をしているのだろう。
「1年生と2年生は、東条川の源流になる篠山市の黒石ダム近くの川で、魚やサワガニを取りました。水が奇麗で、石の裏にサワガニがいるのも発見しました。3年生は東条川の水生生物をテーマに、『兵庫県立人と自然の博物館』の方とビオトープを作り、水生生物を育てています。3学期には博物館で話を聞き、水生生物の標本を作る予定です。4年生は、上流、中流、下流と東条川を追いかけ、水質調査をしています。水の透視度や電気伝導度の測定です。電気伝導度は、数値が高いほど水が汚れていますが、3年前より低い値が出ました。下水道がほぼ全域で整備された影響かもしれません。5年生は、『兵庫っ子・米づくり』体験事業を中心に、米作りと川の関係を学習しています。山田錦やコシヒカリなど8種類の米を作って、食べ比べました。6年生は環境問題がテーマで、今年は酸性雨に焦点を絞り、その原因や世界的な被害を調べるグループ、原因の排気ガスを実際に集めて溶かした水が酸性になるか実験するグループなど、12グループに分かれて発表し、情報交換しながら学習しています」

 学習を通じての目標のようなものはあるのだろうか。
「大人になっても、川を気にかけてほしいですね。今、中学2年の女子生徒が、6年生の時の作文に『池や川や生き物、土や土に住む生き物も、一つの円になっていると思う。自然のつながりは“だるま落とし”と違い、つながりを壊さず抜くことはできない。人はまるで危なっかしい下手なハンマーだ。生き物たちが土や水を奇麗にして地球を支えてくれる。この生き物たちが死んだら土や水も死に、土や水が死んだら他の生き物が死んでしまう。それが人の手で左右されるんだ』と書いています。共につながって生きていると思います」

 

 


東条東小学校

 
 4年1組の生徒34人に集まってもらった。授業で何をしたんだろう。
「水の汚れや川の生き物を調べ、参観日に川の生き物の暮らしなどを発表しました」「水生生物や石から、水が少し汚いことが分かりました」「水生生物にいろいろな種類がいることが分かりました」

 楽しかった点は何だろう。
「頑張って調べて発表するのが楽しい」「川や水生生物を調べて、結果が分かるのがうれしい」

 授業以外でも東条川を見たり、入ったりするようだ。
「雨の時に、川の流れや水の色と量を見ます」「水の量やごみを見るようになりました」

 最後に、全員に東条川に入るのが好きか聞くと、ほぼ全員が「はい」と答えてくれた。