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  日本の背骨が走る。   <氷上町の地図はこちら>
 

中央分水界

 柏原町の隣の氷上町、JR福知山線石生(いそう)駅近くの「水分れ(みわかれ)公園」に来た。ここにも珍しいものがある。公園の中にある「水分れ資料館」で、氷上町観光協会会長の岸義一(ぎいち)さんに伺った。
「水分れ資料館は、高瀬舟、水車(みずぐるま)、魚、植物など、水に関するものだけを展示しています。そこがよそと違う点です」

 なぜ水が分かれるというのだろう。
「いそべ神社の奥から1200mにわたり、日本一低い『中央分水界』が走っています。北海道から九州まで脊梁(せきりょう)山脈という“背骨”が走っていて、雨は、北は日本海へ、南は太平洋へと分かれて流れます。その分岐線が中央分水界です。普通は山の上で分水嶺(ぶんすいれい)で分かれますが、ここは道路の上で北へ流れ、南へ流れというのが珍しいんです。動植物にしても、絶滅しましたがミナミトヨミは北の魚であり、元々南にはいませんが、ここで一緒になり、水が奇麗で温度が一定なため南にもいたそうです。また北のシダが南に、南のシダが北に生えることもあります」



伝説が残る藤ノ木橋
 資料館を出て上流に行くと標識がある。日本海へ約70km、瀬戸内海へ約70km。加古川に注ぐ高谷川が流れ、南北どちらに流れるか最も良く分かる地点だ。下流に向かって右が日本海、そのまま下流に流れると瀬戸内海へ注ぐ。公園には資料館、人工の滝、ウォーキングトレールが整備され、高谷川にも親水公園が造られている。
 高谷川を下流方面に少し行った藤ノ木橋には、伝説が書かれた立て札がある。
「昔、地頭で玉の太夫という金持ちがおり、一人娘の玉姫は玉のように美しく若者の憧れの的でした。そのうち真っ青な直垂(ひたたれ)を着けた美しい若者が通って来るようになり、どこから来るのかと腰に赤い糸を付けて後を追うと、藤ノ木橋を渡り山奥の池の底へ沈んでしもうた。古池の大蛇の化身だったんです。玉の太夫はいそべ神社の御告げで藤ノ木橋の藤に願をかけると、夜のうちに藤が伸びて橋を塞ぎ、二度と玉姫の所に来んようになったと伝わっています。水分れ橋と同じく縁切り橋として名高いわけです。下はおおかみ橋、その下は水分れ橋ですが、身が分かれるからと結婚の時は道を登りおおかみ橋を渡ったそうです」


水分かれ公園
 
 
橋が多い。伝説があるのは古くから川に親しんでいるためだ。
「たまには勉強しながら歩いてもらうために、看板を立てました。昔は川で1日中魚を取ったり泳いだりしました」
 どの川も昔のような川ではない。だが親水公園が造られ、違う形で川と親しんでいる。
「ウォーキングトレールを大勢が歩いてくれます。十分に整備の値打ちがあったと思います」



   水分かれ資料館
  ■開館時間/9:00〜17:00
  ■休館日/毎週火曜日、年末年始
  ■入館料/大人200円、小学生50円
  ■TEL/0795-82−5911
 
兵庫県氷上郡に加古川水系の川を訪ね、木の根橋や中央分水界を知った。それぞれの町に、新しい発見がある。