ホーム パーソナリティ紹介 これまでの放送-放送日から検索 これまでの放送-地図から検索 H15/3までの放送 番組あてメール ラジオ大阪

 



  落人(おちうど)が始めた和紙。   <由良川の地図はこちら>
 

地元で黒谷川と呼ばれる伊佐津川支流

 伊佐津川に来た。由良川水系ではなく独立した川だ。綾部市が源流で、北隣りの舞鶴市を通って舞鶴西港に注ぐ。由良川は一級河川だが、この伊佐津川は二級河川。この違いには、水質も川の優劣もない。一級河川は、国土保全上または国民経済上、つまり治水と利水の面で、とくに重要と国土交通大臣が指定した川だ。一級河川は国が管理し、二級河川は都道府県が管理する。ただ、一級河川は、国が直接管理する部分と国から委任されて都道府県が管理する部分とがある。伊佐津川のように京都府だけを流れる川と違い、由良川のように複数の都道府県(京都府・兵庫県)を流れる川は、一つの都道府県では管理できない。逆に、複数にまたがっていない川でも、治水上または利水上とくに重要な場合は一級河川になる。

 

 


和紙づくり
 綾部市黒谷町。伊佐津川の支流が流れている。地元では「黒谷川」と呼ばれている。黒谷は「黒谷和紙」が有名で、京都府の無形文化財だ。黒谷和紙会館近くの作業所では、「黒谷川」の水で和紙を作っている。黒谷和紙協同組合組合長の福田清さんに伺った。
「約800年前、平家の落人(おちうど)が住み着き、山ばかりで耕地がないため、生活の糧として紙すきを始めたのが黒谷和紙と伝えられています。そのころは『小判』という小さい紙をすいていた程度で、農家へ行っては米や豆と交換して生活をしのいでいたようです」


 


久保佳代の和紙づくりは失敗に終わった

  会館の前にコウゾ、ガンピなどの木が植えられている。
「それとミツマタの三つが和紙の原料ですが、90%以上はコウゾです。11月から12月に霜が降り、紅葉して落葉します。その後、コウゾの原木を刈り取り、1m程度に切って蒸気で蒸します。すると皮がはがれ、黒皮が取れます。紙になるのは原木の3%です」

 工程で欠かせないのが水だ。
「『黒谷川』の水をろ過槽へ入れて使います。蛇口に薄い布袋をかけて、ごみやちりが入らないようにします」

 ここでは紙すきの体験もできる。
「はがきが8枚、色紙が2枚すけるセットなどがあり、1回700円です」
 紙すきの作業所は、ごみが入らないように仕切られている。作業中の方に教えていただいた。
「『すげた』という道具を握ります。これだけでも重いんですが、水をくむと一層重くなるから、しっかり持ってください。手前から水を入れます。向こうを上げて手前を下げて、水をくんで流す。その繰り返しです」
 やってみたが、端がめくれ上がってきた。
「初めての方は100%、こういうふうに手前がめくれます。失敗ですね」

 

 

 

   黒谷和紙会館
 ■開館時間/平日=8:30〜17:00
        第2・4土曜日と
        第1・3・5日曜日=9:00〜16:00
        第1・3・5土曜日=9:30〜12:00
 ■休館日/第2・4日曜日
 ■TEL/0773-44-0213

 

 




綾部市で、由良川の綾部山家観光やな漁、「黒谷川」の水を使う黒谷和紙の話を伺った。水を操る紙すきの技を見て、遊ぶだけではない、違う形での川との触れあいを見た気がした。やな漁、黒谷和紙、その伝統を知ってほしい