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由良川のやな漁、「黒谷川」の和紙づくりを体験。
8月最後の日、京都府綾部市を訪ねた。由良川がゆっくり流れる。豊かな自然に囲まれた山地河川で、流域の9割が山林だ。そのため過去何度も水害に悩まされた。それだけに住民は、川との付き合い方を知り尽くしている。山家(やまが)地区では、昔からアユの「やな漁」が行われてきた。明日9月1日から、今年の観光やな漁が始まる。



   水害に強い、「やな」。    <由良川の地図はこちら>
 

由良川
 綾部市下原町の綾部山家観光やな漁の現地に来た。川には既に「やな」が設置されている。綾部山家観光やな漁保存会会長の小林安夫さんに伺った。
「『やな』は竹を『すのこ』にしたものです。しかし、竹だと流されるため、昭和28年までは6基あったのが昭和30年に1基になり、それも台風でいかれ、みんな経費の捻出にうんざりして、このような鉄のパイプを使うた水害に強い『やな』を考えました」

 

 


由良川のやな漁

 直径3〜4cmの鉄のパイプを5本ほど束ね、川の中で囲むような形にする。上流から下流方向へ上り傾斜に設置され、格子状だから水は流れるがアユは引っ掛かる。
「魚が流れに沿うて来て、水がのうなって泳げんようになったのをつかみます。手でつかめるのが魅力です。幅3.5m、長さ12mです」

 やな漁は伝統的な漁だ。
「江戸時代からしていて、海が遠いこの辺りでは、川の魚を取って焼いて保存食にして、一年中たんぱく源にしていました。昭和30年で途絶えました」
 それが今では復活している。
「僕が商工繁栄会の連合会長だった時、各地区それぞれにあったイベントを奨励していました。10の地区の中の一つがアユ狩りをして、その場で塩焼きとかの料理をして、ごちそうしてくれました。それで、山家も由良川を生かさなあかんと思い、この河原でアユの塩焼きを食べれば、景色もすばらしくていいということで、平成4年にアユを網で取りました。しかし、600掛けるのに三晩かかったので、昔あった『やな』でしようとなったわけです」

 丸太が置かれている。これに火を着けて焼くそうだ。塩焼きは1匹600円ぐらい。毎年9月、訪れた人たちが感想を残す。
「続けてくれの一言です。だから、大変ですけどやっとるんです。9月31日までです」
 9月21日には、恒例のアユ祭りもある。

*2003年の観光やな漁は9月31日で終了しました。

 

 


立岩
 1kmほど上流の「立岩(たちいわ)」にご一緒していただいた。ロープで川まで下りられるようになっているが、木が生い茂る中を滑り下りて、やっと着いた。由良川本流に侵食されて出来た巨大な岩が、水面に迫り出してそびえ立つ。高さ30m、岩の周囲は50m。小林さんには子供のころから見慣れた岩だ。
「昭和16年ごろから泳いでいて、当時は裏側半分ぐらいが山とつながっとって、そこから岩に登れたけど、昭和20年の台風で独立した『立岩』になったと思います。子供のころ、親の目を盗んでは、泳いだり、台風の時に流れて来る大きな丸太に乗ったりしたもんです。上や下の地区のもんと取りあってね。今は、土日になるとロッククライミング客が10人ぐらい来ます」