藤原:東淀川区ボランティアスタッフ人形劇『たまご』代表の黄瀬妙子(きせ たえこ)さんです。先週は大阪市内で公演中のため、放送に間に合いませんでしたが、今週はお越しいただきました!東淀川区ボランティアスタッフ人形劇『たまご』は、東淀川区コミュニティ協会が開催した人形劇の講習会に参加したみなさんで作られたサークルです。エプロンの上にマジックテープで貼りつけた人形などを使って演じる“エプロンシアター”や靴下で作った人形での人形劇など、素朴な上演から始められた劇団ですが、今では大阪市のイベントなどにも積極的に参加されています。
黄瀬:よろしくお願いします!
松本:先週は、子育てにおける現在の問題点から、地域のつながりの重要性を踏まえて、「子どもたちには何が必要なのか」という観点からお話をしていただきました。今週は、「大阪の子育てを大阪再生という視点から考えてみよう」という提案を、『阿倍野区子育て支援連絡会』の中谷さんからいただいています。
中谷:今、商店街はすごく元気がなくて、シャッター街になりつつあるところが結構ありますが、お母さんたちの視点を組み込んで工夫していけば、もっと元気になるのではないかという気がするのです。例えば、買い物中に休憩できる場所やおむつ交換の場所を設けると、もっと若い家族が出向いてくれます。また、商店街で夏祭りなどのイベントをしていても、周知力が十分でないので、みなさんご存知ないのです。そこで、ターゲットを子育て中の家族にしたらどうでしょうか。「地域だけでなく、区全体で周知する方法を私たちと一緒に考えませんか?」と呼び掛けて、経済効果を狙っています。また「子どもを保育所に預けないと仕事ができない」という状況も変えて、子どもの傍で仕事ができないかという要望も出ています。半分は育児に、半分は自分たちのキャリアを活かしたお仕事に時間を使うことで、町の活性化にもつながるのではないかと思います。
黄瀬:商店街の活性化は、ぜひ考えていきたいですね。私は人形劇とは別のグループを組んで活動したいと思っています。ただ、意見が出る時は盛り上がるのですが、なかなか持続ができません。
中野:今あるものを活用していくという考えは、すごくいいと思いました。私も茨木市で“集いの広場”をされている方から声を掛けていただいて、4月から、第4日曜日にシングルマザーも参加する“集いの広場”を始めました。今あるものをいかに上手く使って新しい活動へと広げていくことが、私たちがすべきことだと感じました。
松本:行政が特別に予算を設けるのではなく、すでにあるものを上手く使うということですね。また、行政とそういったコミュニケーションをとるためには、みなさんの一致団結が大切だと思います。
徳谷:『ハートフレンド』の今の拠点は、実は仮設消防署の跡です。4年ぐらい前に、仮設消防署として1年だけ使って壊すという話を聞いて、連合会長が交渉して行政から借りてくださったのです。行政の支援は、私たちの頑張りを見てもらうまでは難しいのですが、商店街に空いている店舗があれば、安く貸していただき、お母さんたちの休憩場所や、情報発信の場にするなど、そういうことはできます。私たち自身も、空いている時間を少しずつ出し合って「頑張ろうよ!」と励まし合うことが大事だと思います。
松本:空き店舗の話は、面白いことに、みんな同じようなことを考えるようです。私が住んでいる岸和田でも、商店街を活性化するために“一日人形劇”の日を作って、ずっと閉まっていたシャッターを開けてもらって、人形劇をしています。シャッターは簡単に開けてくれるのですが、その中はゴミの山です。動かないバイクや映らないテレビを片付けなければならないし、電気も使えません。それを使えるようにするためには、やっぱりお金が必要なのです。ただ2度目からは、商店街の方から集まりやすい場所を提案してくれるようになりました。3年くらい続けた頃には、それまでずっと閉まっていた商店が、365日開いているスペースに生まれ変わりました。
松本:活動のための場所は、新しく作らなくても、探せばあるわけですね。また、そういう地道な活動があって、初めて横の結びつきができます。
中野:人のパワーも資源ですから、今ある人のパワーという資源も大事に使っていくことが、とても重要だと思います。
松本:また、現代社会が抱えている大きな問題として、“少子化”があります。それを打開するような提案は、ないでしょうか?
中野:“少子化対策”という前に、今いる子どもたちを大事にしてほしいと思います。シングルマザーの子どもたちは、“少子化対策”の対象になっていないとしか思えません。子どもたちには、大きくなっていく過程が大事です。今、シングルマザーの困窮がさらに増していくような政策がなされていますが、それによって、今のシングルマザーが大変になるだけでなく、これから育っていく子どもたちやその次の世代にまで、貧困の連鎖が起こってしまいます。今の子どもたちを大切にすれば、その後の豊かな“生”も続いていくことになりますので、“少子化”を食い止める一つの方向になるのではないかと思います。
松本:そのことは、行政や国も分かっているのですか?
中野:分かっているとは思えません。“少子化対策”と言いながら、シングルマザーに対する支援はどんどん切り捨てていますので、「シングルマザーの子どもたちはいらないの?」と思ってしまいます。
松本:“少子化”だけが問題なのではないでしょう?日本では、国を富ますために国民が使われているように思います。私はデンマークによく行きますが、デンマークでは、人を育てるために国があります。日本はそこを変えない限り、あらゆる問題が変わらないと思います。例えば、乳母車を押したお母さんたちが集団でチボリ公園の中を闊歩していますが、みんな気にしていません。その光景が当たり前なのです。デンマークでは人口が増えているのですが、子どもやお年寄りに関係なく、人間をとても大事にしているので、いろいろな政策もそのためにあります。日本では逆に、国を富ますためにいろいろな施策が行われているようです。
松本:国や企業があり、人があるという“組織ありき”という考え方は、日本の古くからの風潮ですね。でも、本当は最初に“人ありき”なんですよね。
松本:人が豊かであれば、会社も発展するし、国も豊かになっていくはずだと思っているのですが・・・。
松本:国や自治体に分かってもらうためには、日本の根本的なものを変えないといけないのですね。大変なことだと思いますが、“人ありき”が子育ての原点でもあるわけです。結論を出すのは難しいので、これで終わりにするのではなくて、この放送を新たなスタート地点にしていただければと思います。さて最後に、みなさんの最近の活動ぶりや今後の予定などをお聞きしたいと思います。
徳谷:『第3回東住吉区金魚すくい選手権大会ハートフレンドカップ』を、8月5日に東住吉区民ホールで、今年も開催します!小中学生200人、一般100人、団体30組を予定しています。『ハートフレンド』に関わってくださっている団体に関しては特別枠を設けますので、ぜひご参加ください。昨年は『ぐるーぷ ぬ!』さんも参加していただいて、盛り上げていただきました。特徴は、司会進行などを子どもたちで行うところです。駄菓子屋のコーナーもあり、昨年の収益金は、ユニセフに寄付させていただきました。みんなとっても張り切っています。次世代育成ということを目標に頑張っていますので、ぜひ応援してください。
坂口:『ぐるーぷ ぬ!』は、9月29日に、今回で4回目になる『おーい人形劇だよ』を開催します。プロの人形劇団を招待して、人形劇を無料で見ていただいた後、ワークショップを行います。一緒に人形を作って、実際に人形劇をしていただく予定です。家族が地域と触れ合える場を設けたいと思いますので、ぜひお越しください。
中谷:『阿倍野区子育て支援連絡会』が後援している『みなくる盆踊り』が、8月25日の夕方5時〜8時、阿倍野小学校の体育館をお借りして、行われます。乳幼児のおられる家族が対象なのですが、それ以外の地域のみなさんもぜひご参加ください。今回の取り組みは、市民グループだけではなく、地域の小学校や町内会の方とも連携させていただいています。このつながりが広がっていけば嬉しいなぁと思っています。
黄瀬:東淀川区ボランティアスタッフ4団体のうち、私たち人形劇『たまご』と大道芸の団体が、8月18日・19日に東淀川区の水道記念館で行われるイベントに出演します。また、9月16日の『東淀川区民まつり』でも、人形劇をする予定です。両イベントとも、時間や内容は未定なのですが、ちょっと変わったこともすると思いますので、ぜひお越しください。
松本:『人形劇団 クラルテ』は、7月28日・29日の『第6回 人形げきフェスタinすみのえ』に出演します。アマチュア21団体、プロ2団体が出演予定です。500円の参加バッヂを購入していただくと、アマチュアの人形劇を2日間通して見ることができます。プロの人形劇と人形づくりワークショップは別料金が必要です。また、来年になりますが、2008年3月後半〜4月前半に、『人形劇団 クラルテ』結成60周年を記念して、大阪市内60ヶ所公演を計画しています。現在、その会場と協力者を探しています。“大阪ならでは”のことをやりたいと思っていますので、よろしくお願いします。
中野:『しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西』では、本を出版します。一人親で育った子どもたちは、「かわいそう」とか「頑張ってね」という目で見られていることに「ちょっと違うんじゃない?」という思いがあるようです。そこで、子どもたち自身のグループが立ち上がって、自分たちでインタビューし、“子どもたちの本音”をまとめて、『子どもたちから大人への伝言』という冊子を作りました。言葉で言い表せられない子どもたちは、絵を描いて表現しています。大変かわいい冊子です。その出版記念報告会を、7月1日の午後2時〜4時30分、天満橋のドーンセンターで行います。
松本:2週間に渡ってお送りしてきましたが、まだまだ言い足りないことはたくさんあると思います。ぜひ、またこのような機会を作れたらと思っております。みなさん、ご協力ありがとうございました。
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NPO法人『ハートフレンド』
代表理事
徳谷章子さん
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『ぐるーぷ ぬ!』
代表
坂口真子さん
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『阿倍野区子育て支援連絡会』
中谷邦子さん
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東淀川区ボランティアスタッフ人形劇『たまご』
代表
黄瀬妙子さん
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『人形劇団 クラルテ』
前代表
松本則子さん
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NPO法人『しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西』
事務局長
中野冬美さん
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