松本:番組がはじまって以来8ヶ月間、大阪を愛し、大阪にこだわった活動をしている66団体をご紹介してきました。その中から、町づくりや町おこしに取り組んでいる6つの団体のメンバーの方にお越しいただいています。
藤原:順にご紹介します。大阪市中央区の空堀に残る古い長屋の再生を通じ、新たな文化の発信を行っている『からほり倶楽部』代表の六波羅雅一(ろくはら まさかず)さん。
六波羅さん(以下:六波羅・敬称略):こんにちは、六波羅です。
藤原:船場の真ん中を南北に通る三休橋筋とその周辺の魅力アップに取り組んでいる『三休橋筋愛好会』の篠原祥(しのはら やすし)さん。
篠原さん(以下:篠原・敬称略):活動をはじめて5年ぐらいたちますが、当初はマイナーな町だった三休橋筋が、最近名前が知られるようになりました。
藤原:大阪市住之江区の平林地域にある材木を保管する貯木場を有効利用して町の活性化を図っている『平林フォーラム』会長の林田元宏(はやしだ もとひろ)さん。
林田さん(以下:林田・敬称略):平林地域は、大阪市の区画整理で大正区にあった木材業者が集団移住してできた木材の町です。私たちは、子どもたちがここで商売をしていきたいと思える町にしようと活性化に取り組んでいます。平林には大量の丸太を保管する貯木場がありますが、これを町の活性化に活用していきたいと考えています。
藤原:大阪市西区の堀江地区で歴史研究や町づくりの活動に取り組んでいる『NPO法人なにわ堀江1500』代表理事の水知悠之介(みっとも ゆうのすけ)さんです。
水知さん(以下:水知・敬称略):最近、堀江は若者の集まる町として注目を集めていますが、若者が集まるだけに終始するのではなく、地域とどう解け合っていくかを今、課題にしています。それが大阪の将来につながると思います。
藤原:大阪市西区の九条地区で下町ツアーを通じて町おこしをされている『大阪・九条下町ツアー』主宰の谷口靖弘(たにぐち やすひろ)さん。谷口さんは大阪芸術大学短期大学部教授として観光の研究をされていらっしゃるので、そちらの視点からもご意見をいただきたいと思います。
谷口さん(以下:谷口・敬称略):“素顔の大阪”の下町を、“素顔のボランティアのおばちゃんたち”が案内するというツアーをやっています。
藤原:大阪市天王寺区内の会社や商店会が集まって町づくりや町おこしに取り組んでいる『NPO法人天王寺21協議会』代表理事の熊谷晃一(くまがい こういち)さん。
熊谷さん(以下:熊谷・敬称略):天王寺は歴史と文教の町と言われています。そうした天王寺の良いところ、上町台地の良さを広く知っていただきたいとNPO法人を立ち上げ3年になります。『天王寺21協議会』自体は20年あまりの歴史をもつ団体です。
松本:6人の方にお集まりいただき、座談会形式で行います。最初にご紹介した六波羅さんより、今一度自己紹介をお願いします。
六波羅:活動をはじめて5年になりますが、最近、「直木三十五記念館」も立ち上げ、広く注目いただくようになりました。
松本:大阪は歴史も文化も豊かなところですが、“吉本、たこ焼き、タイガース”とステレオタイプのイメージがある町です。大阪に住み、暮らすという視点から見るとそれだけではない、様々なおもしろいところがある。そういう大阪の町の力、“町力(まちぢから)”をアピールしていただきたいと思います。それぞれに取り組まれている地域のアピールできる点、問題点、課題などを、まず、『平林フォーラム』の林田さんからお伺いします。
林田:戦後から高度成長期にかけて木材業界は非常に繁栄しましたが、地方港が整備され、海外から最終製品が輸入されるようになって、業界自体が衰退しました。それに伴い、平林の町も衰退しはじめ、土地の権利関係問題もあり、町の再開発や活性化が進みませんでした。また、ベテラン経営者から若手への世代交代もうまく進んでいません。こうした問題は、中小企業の多い大阪ではどこでも見られる問題ではないでしょうか。
松本:水知さんの堀江地区は若者の町に定着しつつあるので、平林地区とは、また違う感じがします。
水知:今、堀江とアメリカ村の違いがどこにあるかがポイントになっています。「アメリカ村にしたくない」というのが、立ち上げの動機でした。アメリカ村では、若者達が通過するだけで、住む人がいなくなっています。それに対して堀江は住んでいる人が着実に増えている。学校も毎年、児童数が増えているんです。マンションが建って新しい住民が増えています。大阪の活力は都市の住民の力、回帰と定着だと思っています。今、堀江に若者が集まってきていますが、放っておくと一過性になってしまう。これをどうつなぐかというのがポイントになっています。キーワードは文化、芸術、歴史だと位置づけています。私自身、歴史にこだわり、若者のアート支援団体『堀江ジャンクション』という団体の永原さんと組んで、堀江の中で若者と地域の融合を模索しています。
松本:大阪の中にも、若者が集まっている地域と、そうでない地域があり、ひとくくりにはできません。『天王寺21協議会』の熊谷さん、天王寺も伝統のある地域ですが、そのあたりどうですか。
熊谷:『天王寺21協議会』は元々、商工会議所の下部組織だっただけに、天王寺全体をフォローしながら活動していくのは、難しいところがあります。どこの商店会でもそうでしょうが、活力のあるところと、そうでなくなってしまったところがあります。今年は阿倍野区と一緒に様々な活動をしましたが、阿倍野区の場合も南と北、つまり天王寺周辺のにぎわいに比べて、南の方はどうも今ひとつだと聞いています。
松本:この点について何かご意見はありませんか。
水知:ミナミとキタという軸があると思われているようですが、私は大阪が伸びるとすれば、東から西だと考えています。東が上町台地で西が堀江からベイエリアに向かう。これこそ大阪が開発されてきた、1500年の歴史のひとつの大きな流れです。主軸をミナミとキタから、東と西に変えることができれば、活性化につなげることができると思っています。1500年のナニワの歴史を今こそ知ってもらいたいと、ありとあらゆるところに押しかけていってPRしています。
松本:なるほど。谷口さんはどうですか。
谷口:九条は昔、“西の心斎橋”と言われるくらいにぎやかな町でしたが、今は残念なことにさびれています。私の夢ですが、三休橋から周防町を抜け九条の商店街まで続いている通りを“大阪セントラルストリート”と名付けて、東と西を結びつけていく活動をぜひ水知さんたちと一緒に起こしたいと考えています。大阪の中央の町、セントラルのストリートだという意識で、天神橋に負けない日本で一番長く、個性ある商店街をつくっていきたいです。
水知:御堂筋を造ったときに、24本幹線道路を拡幅しています。そのひとつが周防町です。東西の幹線で一番長く、玉造から今の堀江、千代崎を抜けて九条までです。御堂筋が一方的に注目されていますが、横の幹線道路も24本も広げています。そういう意味でも、東と西でPRしたいんです。
松本:船場あたりは微妙なところですね。
篠原:東西の話が出ましたが、私たちの活動フィールドは南北に貫く三休橋筋です。ただ、歴史的には船場も東西の軸が中心で、大阪城に向かって伸びる通りを中心に町が形成されてきました。三休橋筋は、船場のど真ん中、大阪のど真ん中にありながら、名前もあまり知られていない。そんな三休橋の魅力を掘り起こして発信していこうと活動をはじめました。御堂筋や堺筋では感じられない東西の町の表情が、船場の町を南北に貫く三休橋筋沿いには見ることができます。
松本:『からほり倶楽部』では長屋の再生を通じて新たな文化の発信をされていますが、今までみなさんの話をお聞きになって、応用できるところなどがあるのではないですか。
六波羅:それぞれの町にそれぞれの個性となる歴史や文化があって、それをきちんと表現することで町が明確になっていく。空堀もどんどん無くなっていく長屋を残していこうというところからはじまっています。それぞれの町の特性を大事にしていくと、大阪も多様性があるということになると思います。
松本:『平林フォーラム』の地域は、観光というポイントに絞ると、少し違ってきますね。
林田:他の地域は観光や商業を中心に発展してきた歴史ある町ですが、私たちの地域は、戦後造成され埋め立てられてできた町、工業地域という前提で造られた町ですから、歴史的にも浅く、そういう意味では、少し取り組み方がちがうなと感じています。
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(スタジオ)
松本:座談会は途中ですが、この続きは、来週にお送りしますので、お楽しみに。
(後半の放送はコチラ)
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『からほり倶楽部』
代表
六波羅雅一(ろくはら まさかず)さん
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『三休橋筋愛好会』
篠原祥(しのはら やすし)さん
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『平林フォーラム』
会長
林田元宏(はやしだ もとひろ)さん
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『NPO法人なにわ堀江1500』
代表理事
水知悠之介(みっとも ゆうのすけ)さん
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『大阪・九条下町ツアー』
主宰
谷口靖弘(たにぐち やすひろ)さん
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『NPO法人天王寺21協議会』
代表理事
熊谷晃一(くまがい こういち)さん
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どんなお話が聞けるか
楽しみですね
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今日は、大阪活性化に取り組む
6団体の出演ですね
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大阪活性化のための座談会は
次週に持ち越されることに
なりました |
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