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奈良の有名寺院で突く、除夜の鐘
大みそかといえば除夜の鐘。そこで今回は、除夜の鐘が突けるお寺を回ってみることにしました。しかも、名だたる神社仏閣が連なる奈良のお寺です。弁天町から阪神高速に乗って、環状線、東大阪線を経て、第二阪奈道路で生駒山の阪奈トンネルに突入しました。この山を過ぎれば、そこは奈良。最初に目指すのは、まさかあそこで除夜の鐘が突けるとは!というお寺です



   世界遺産で国宝の鐘が突ける日     <第二阪奈道路の地図はこちら>
 

国宝・東大寺梵鐘(大鐘)

 第二阪奈道路終点の宝来から、世界遺産の東大寺に来ました。大仏殿から少し若草山寄りにある鐘楼は国宝に指定されていますが、その鐘を大みそかに限って突くことができるのです。財務執事の橋村公英(こうえい)さんにお話を伺いました。かなり大きな鐘です。
「高さが4m弱、口のところの口径が約2m70cm、重さは26t余りあります。奈良時代の聖武天皇の時、大仏様が最初に造られた750年ごろに一緒に造られました。除夜の鐘は、一人では突けませんので、8人ぐらいで一組になり、突いていただいています。最初は寺の者が突きますので、800人余りに突いていただけます」 除夜の鐘の他にも、特別なことがあるようです。「除夜の鐘は、突き終わって新年という場合と、新年の0時から突きはじめる場合がありますが、東大寺は新年0時より突きはじめます。そして、1回目の鐘を合図に、日ごろは開けない大仏殿正面の中門を開け、朝8時まで自由に入っていただけるようにします」

 

国宝・南大門
 大鐘をよく見ると、鐘の真ん中辺りにある丸いところに鐘木(しゅもく)が当たるようになっておらず、少し下に突き跡があります。なぜでしょう。
「真偽のほどはともかく、奈良の古い物語や言い伝えをまとめた江戸時代の書物を見ると、昔、とても力持ちの武士がいて、力まかせにこの鐘を突いたところ、3日3晩だか5日5晩だか、鐘のうねりが鳴り止まなかったと。それ以降、そういうことが起きないように、『突き座』からずらしたということです。東大寺の大鐘は、非常に勢いのある音が鳴り、しかも、音が低くて響き続けます。一度、突き座を突いた音を聞いてみたい気もします(笑)」

  東大寺大仏殿
■入堂時間/
    11-2月 8:00〜16:30
      3月 8:00〜17:00
     4-9月 7:30〜17:30
      10月 7:30〜17:00
■入堂料/大人500円、小学生300円
■TEL/0742−22−5511

   伝説の十三鐘を突く興福寺   
 

菩提院大御堂の十三鐘

 東大寺の隣、やはり世界遺産の興福寺に来ました。わが国を代表する国宝である阿修羅像はじめ、多くの文化財を有するお寺です。ここでも除夜の鐘が突けるのです。米田弘雅(こうが)さんにお話を伺いました。
「興福寺では、南円堂とここ菩提院大御堂(おおみどう)の2カ所で除夜の鐘を突きます。最初の4回と最後の4回は僧侶が突きますので、それぞれ100人の方に突いていただけます。整理券を夜11時から配りますが、ここ菩提院大御堂は春日さんに初詣に行かれる方が多く立ち寄られますから、早めに来ていただけるとありがたく思います」


 

三作の塚
 普段は非公開だという菩提院大御堂。どんなお堂なのでしょう。
「言ってみれば、お坊さんが住む塔頭(たっちゅう)の一つで、歴史は古く、奈良時代にはもう住んでいたらしいのですが、鎌倉初期にこういう大きなお堂を建てて『大御堂』という名になりました。今の建物が出来たのは室町時代で、ご本尊は阿弥陀さんです」

 鐘にも伝説があるようです。
「十三鐘(じゅうさんがね)と言い、ちょっと悲しい話があります。昔、ここに寺子屋があり、三作という子供が習字を書いていた時、鹿が来て書いた半紙を食べはじめたため、驚かすつもりで文鎮を鹿に投げつけたら当たってしまい、打ち所が悪くて死んでしまいました。当時、鹿は春日の神様のお遣いだったため、13歳なのに死罪を申しつけられて、石子詰(いしこづめ)というむごい刑を受けてしまいました。それを悲しんだ母親が、供養としてモミジを植え、以後、明けの七つと暮れの六つに鐘が突かれるようになりました。七つと六つで十三鐘です。三作がちょうど13才だったので明けの七つと暮れの六つに突いたという説と、勤行(ごんぎょう)の始まるのが明けの七つと暮れの六つだったという説があります。今は火事など緊急時以外、突きません」

 
 興福寺東金堂、国宝館
■拝観時間/9:00〜17:00
■拝観料/
 東金堂 大人300円、中高生200円、小学生100円
 国宝館 大人500円、中高生400円、小学生150円
■TEL/0742−22−7755