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  彫刻家の手になる道の駅    
 


「my sky hole 地上への瞑想室生」

 国道165号を東へ走り、宇陀市室生区に来ました。今年1月の合併前までは室生村だったエリアです。道の駅「宇陀路 室生」は、昔から伊勢街道の宿場町として栄えてきた三本松地区にありますが、建物の斬新なデザインにはびっくり。ガラス張りの高い吹き抜け空間になっている建物の周りには、樹齢130年の杉の木が27本も張りめぐらせてありますが、これは森をイメージしているとのことです。 この道の駅は、室生出身の有名彫刻家、故・井上武吉(ぶきち)さんが設計監修をしました。また、道の駅の広場には、井上武吉さんの作品である大きな球体をしたモニュメントがあります。銀色で、世界を映し込み、前に立つと自分が世界の中心にいるかのように映る「my sky hole 地上への瞑想室生」という作品です。後ろには地下へと入る空間がありますが、ここで瞑想ができるとういうことなんでしょうか。 これが井上さんの最後の作品になりましたが、旧室生村では、井上さんの壮大な構想を生かした村づくりが行われてきました。「むろうアートアルカディア計画」です。一体、どんな計画なのでしょうか。


    道の駅「宇陀路 室生」
 ■営業時間/9:00〜18:00 (3〜10月は19:00まで)
 ■定休日/火曜日(祝日の場合は
翌日)、年末年始
 ■TEL /0745−97−2200

   親友の芸術家が引き継いだ山上アート     
 

第一湖に浮かぶ三つの島
一番手前はステージになっている

 国道165号を少し西に戻り、南に折れて山里の細い道を上っていくと、公園がありました。しかも、山の上とは思えないような不思議な空間です。宇陀市室生地域事務所アートアルカディア推進室の松岡保彦室長に伺いました。
「『むろうアートアルカディア計画』は、文化芸術の視点から村づくりすることを目指し、平成9年に国土庁の支援を受けて過疎対策として策定したものです。『アルカディア』はギリシャ南部の地名で理想郷というような意味があり、『アートアルカディア』は、室生が聖地であることから、『美の聖地』という意味を持った造語です」



 
太陽軸線上に造られたモニュメント
 山里と現代アートは、どう出会ったのでしょうか。
「箱根にある『彫刻の森美術館』を設計監修した井上武吉先生に、道の駅全体の監修とモニメントの製作をお願いした際、先生が残る生涯を故郷である室生のために尽くしたいと、『森の回廊計画』というのを策定されました。それがアートアルカディア計画の礎になっています。『太陽の道』である北緯34度32分の軸線が、伊勢から室生寺、長谷寺、三輪山、そして淡路島の伊勢の森神社をつないでいるため、この東西軸の軸線上に太陽のモニュメントを造りたいという構想を持っておられましたが、残念ながら亡くなったため、井上先生の無二の親友のダニ・カラヴァンさんにお話をしました。するとカラヴァンさんは、ぜひ自分のものとして実現したいと非常に意欲的だったため、約7.8ヘクタールに山の上のモニュメントを実現していただきました」
 

不思議空間へ迷い込んだかのよう

 山の上にこんなモダンなものが出来て、地元の皆さんは驚いていないのでしょうか。
「地元の方々は、一体これが何なんなのかなっていうようなことをよく言われます。皆さん方は、毎日、山を見て暮らしておられ、ここに来ても山がある。そんな所にあるこれが作品なかどうかと、戸惑いを持っておられます。でも、なんか知らないけども神々しい風景を見るようやな、光が本当に奇麗やな、形が奇麗やなって言っていただける人もいます。作家は『美しいものには隅々まで神が宿る』と言います。まさに、ここはそういう場所だなと感じます。光や風などによってここで体現されていくものが、本当に素晴らしいと強く感じております」




 室生山上公園 芸術の森
■開園時間/4〜10月 10:00〜17:00
         3、11、12月 10:00〜16:00
■観覧料/大人400 円、高校生200 円
■休園日/火曜日(祝日の場合は翌日)、
        12月29日〜2月末
■TEL /0745−93−4730


室生山上公園は公共事業とアートの融合として行われたもので、地滑り対策としてスタートした事業だそうです。美しい施設であると同時に、地滑り防止の機能も兼ね備えているわけです。