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  川から出て岩を登る魚    
 


滝の拝

 新宮市まで出てから那智勝浦町などの美しい南紀の海沿いを走って、古座川町に入りました。そして、今度は古座川沿いに山へと登り、途中から小川(こがわ)沿いに方向を変えました。海から40分ほど、「滝の拝」に到着です。この滝は上から下に1本で落ちている滝ではなく、岩の河原の端っこが切れ込んでいて、そこに水が一気に落ちている感じです。 ここへ来た理由は、ボウズハゼという魚が岩を登っていると聞いたからです。すごい水しぶきが上がる中、完全に川の外、横の岩をへばりつくように登っているオタマジャクシのようなものが、どうやらボウズハゼのようです。どうやって登っているのでしょうか。地元の方、古座川町役場産業振興課の津本拓(ひらく)さんに伺いました。まず、ここはどういう場所なんでしょう。
「古座川の上流で切った木を流して河口まで持って行く時、ここが一番危険な場所になるわけです。それで、ここにお宮さんを祭って安全を祈願したというところです」


岩を登るボウズハゼ
 だから「滝の拝」というわけです。ボウズハゼについても伺いました。
「濡れている岩に吸盤で吸いついて、前のヒレを上手に使いながら登って行きます。見られるのは夏場だけです。たぶん、遡上(そじょう)する性質と産卵などのために登るのだと思います」
 これは年中見られるわけではないようです。
「夏場だけですね。この切り立ったところを登って行くっていうのは、よそではあんまり聞きませんね」

 古座川町には、他にも見どころがいっぱい。津本さんにご案内をお願いしました。


ボウズハゼの動画を見る(クリック)


「子授けイチョウ」
 二つ目の訪問地は光泉寺。滝の拝から小川を下って古座川に戻り、上流方向に15〜20分ぐらい上ると到着しました。大きなイチョウの木があり、枝という枝から、つららみたいな木が垂れ下がっています。
「樹齢300〜400年と言われていて、幹周り7m、直径は2m以上あります。垂れ下がっているこぶに願をかけると子供ができる、『子授けイチョウ』というふうに言われています。垂れ下がっているものは、乳房に見立てています。11月ごろの黄葉の時期には、じゅうたんのようにイチョウの葉っぱが敷き詰められます」

  巨岩、奇岩の数々     
 

一枚岩

 光泉寺のイチョウから古座川を下り、「もう笑うしかない」というほど大きな山が目の前にそびえている所にきました。
「ここは一枚岩と呼ばれています。山ではなく、一枚の岩です。高さ100m、幅500mあり、岩に根を張ってウバメカシやカシ等が生えています」

 表面が茶色くて滑らかそうに見える岩。日本版エアーズロックみたいな感じです。
「皆さん、そう言われます。石英粗面岩(そめんがん)という石で、白い斑点のようになっているのは、ヘリトリゴケというコケの一種です。年間に0.何mmしか広がらないらしいのですが」

 古座川町はスケールが違います。でも、逆に小さくて珍しいトンボもいるようです。
「ハッチョウトンボが、この下流約6kmのところに生息しています。羽を広げた幅と長さはそれぞれ約2cmで、雄は真っ赤、雌は茶色と黄色を混ぜたような色です。和歌山県では、古座川町と新宮市熊野川町にしか住んでいないそうです」


虫喰岩
 最後に訪れたのは、古座川の河口に近い「虫喰岩」。国の天然記念物で、大きな岩にたくさんの穴が開いていて、すが立ったような模様になっています。
「石英祖面岩が雨や風で浸食されて弱くなり、大小の穴になっています。ここで、穴の開いた小石に糸を通して願かけすると耳の病気が治るという言い伝えがあって、今でも小石が置かれています。上のほこらに祭られていると思います」

 ところで、古座川町にはユズの絵があちこちに描かれています。
「平井地区でユズ栽培をしています。ジュース、マーマレード、ぽん酢、その他いろいろありますので、来た折には買ってください」


古座川町役場裏、古座川の河原に立つと、前後には山、下流方向には海、上流方向には大きな岩がそびえる山々が見えます。南紀のダイナミックな自然を体で感じた1日でした。