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  三木の金物のすべてが分かる資料館
 


三木市立金物資料館の展示

 城跡の公園のすぐ隣にある三木市立金物資料館は、。コンクリートで出来た校倉(あぜくら)づくり風の建物で、玄関に近づくと「村の鍛冶屋」が流れてきます。そして、館内にはありとあらゆる大工道具が並んでいます。館長の森本薫さんにお話を伺いました。
「全部で約3300点あります。三木の金物、とくに大工道具は、戦国時代の1578〜80年に織田軍が豊臣秀吉を総大将として毛利を攻めた時、毛利に付いたため三木が焦土化し、戦後、それを復興するのに全国から大工さんを集めたところ、それに伴って鍛冶も盛んになったというのが始まりです。早い復興を目指し、秀吉が税の免除等を行いました」


第1日曜日には古式鍛錬も行われる
 それ以前には、金物は作られていなかったのでしょうか。
「それまでについては伝説の世界になりますが、昔から播磨地域は大和鍛冶の技術集団がいました。5世紀の中ごろに、百済から恵(けい)王子が、丹生山(たんじょうさん)の方にお見えになった際、韓鍛冶の鍛冶屋さんを連れて来たため、それと交わって急速に技術が発展したと言われています」

 三木の道具が飛躍的に有名になったのにも、理由があるようです。
「ここが一応、復興をいたしますと、大工さんが三木の金物を持って各地に行きました。すると、よく切れるいいものだと評判になりました。さらに、大工さんがいろんな地区の技術を勉強して持って帰り、それを鍛冶屋さんに作らせたため、技術面でますます向上していきました」


隣の金物神社

 お父さんの世代だと懐かしい「肥後守(かみ)」の発祥も、ここ三木だということを知って驚きました。
「そうです。三木の平田地区では、ナイフを作っておりましたが、熊本の肥後から来たナイフの技術を取り入れ、改良した三木独特のものが『肥後守』です。これは登録商標です」

 町を歩いて気付いたのは、金物の町なのに小売店が少ないことです。
「まだ家内工業的に手づくりでやってるところがありますが、多くが工業公園といったところに移っております。また、販売につきましては、三木の国道175号の道の駅「みき」でメーカーさんや問屋さんが展示即売をしております。いろんな金物があります」

 金物資料館の西隣には、「金物神社」もあります。

  三木市立金物資料館
 ■開館時間/10:00 〜17:00
 ■休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
 ■入館料/無料
 ■TEL /0794−83−1780

   湯の山街道を一層楽しむための穴場  
 

情緒あふれる湯の山街道
 三木城跡を北側へ降りると、お城の礎石跡が発掘された湯の山街道の起点である「ナメラ(滑原)商店街」があります。そこから湯の山街道を歩くと、途中で東条街道と分かれる道があったり、虫籠窓(むしこまど)や卯建(うだつ)が上がっていたり、杉玉がぶら下がっている酒屋さんがあったりと、古い町並みが続きます。また、別所長治の親戚が、秀吉に「部下にならないか」と言われ、「私に主君は二人といません」と断ったことに秀吉が感心し、小袖の着物を贈り、それが今でも残っている本長寺というお寺もありました。

 
あい染の型に囲まれてインタビュー
 今度は、そんな湯の山街道にある「ギャラリー湯の山みち」に来ました。お話を伺ったのは館長の筒井俊雄さんです。ちょっと変わったギャラリーで、アンモナイトの化石があったり、丸々1室にそろばんが並べてあったりします。また、その奥には、あい染めの型が並んでいる部屋があります。
「そろばんと型は、かつての三木の産業やったんですよ。三木は金物以前に、染め型があり、それから金物、次にそろばん産業が成立しまた。そろばんは小野へ移り、もう三木ではほとんどなく、染め型も全くありません。明治維新後、インド綿が入り、紡績機械が出来、紡績会社が出来ることによって、地方の機織産業がなくなったんと、紺屋さんがなくなったために滅びてしまったんです。でも、素晴らしい文化財ですわ。どうしてこんな作業ができたんかな?というような小さいもんを作ってますんでね」

 

古い家並みの中にしゃれた
フランス料理店もある湯の山街道

 細かい柄の型は、裏地の柄の型だそうです。
「羽織などの着物の裏に、この小さい模様の柄をつけるのがお洒落なんです。江戸時代の庶民がお洒落をするのには、裏にしかできなかった。でも、明治になると、(表でも)洒落ができるようになったから、柄が大きくなってきた。だから、表柄に変わってきたんですよ」 1階には、三木の昔の絵図があり、何屋さんがあったとか、どこまでが免租地だったとか、どこまでが町外れだとかが分かるようになっています。「ここで一服してもらって、歩く時、ここはこうですよというような感覚で見てもらうと、また楽しいと思うんですよ。ただ歩くだけやなしに、ここに何屋さんがあったんやなとか、この角っこのとこ辺りでみんな一服したんかなとか、この小川ではわらじを湿らして旅したんかなとかいうような感覚で見てもらうと、おもしろい思い出になると思いましてね」

 

   ギャラリー湯の山みち
 ■開館時間/10:00 〜17:000
 ■休館日/月曜日、祝日の前日、年末年始
 ■入館料/無料
 ■TEL /0784−82−7873

   “湯の山高速”をドライブ  
 

有馬温泉へちょっと寄り道
 三木を後にして山陽自動車道を大阪方面に戻る途中、ちょっと寄り道を決めました。神戸北インターから六甲北有料道路に入り、有馬温泉に向かっています。西の方から有馬温泉へ行くのには六甲北有料道路、反対に、東から行く場合は中国自動車道の西宮山口ジャンクションから阪神高速北神戸線に入るのが便利です。
  北神戸線は、西宮山口ジャンクションから第二神明道路へとつながる伊川谷ジャンクションまでの約32kmの道で、約4年前に全線開通しました。西宮山口ジャンクションからほんの2分で西宮山口南出口、そこから5〜6分で有馬温泉です。ただ、西宮山口ジャンクションは大阪方面からしか利用できないハーフジャンクションなので、西から入っていくことができないため、この六甲北有料道路を利用しているわけです。こちらからでも、走ってしまえば近いものです。有馬温泉、もうすぐです。
  

兵庫県三木市を訪ね、湯の山街道を中心に町の歴史を楽しみ、何気ない町でも、掘り返せば歴史が出て来ることを実感しました。ところで、2000年からお送りしてきました「近畿道ものがたり」は、今回の放送をもって終了することになりました。長い間、ありがとうございました。またいつか、皆さんとラジオでドライブ旅行が楽しめるような時間が出来ることを祈りながら、お別れします。