ホーム パーソナリティ紹介 これまでの放送-放送日から検索 これまでの放送-地図から検索 番組あてメール ラジオ大阪

 

  素朴な逸品、御坊人形
 


製作中の「鯛車」

 御坊市に戻り、ある工房に来ました。「招福鯛車」と書かれた、オレンジ色の可愛いタイの人形がいっぱいあります。これが、今では入手困難になった御坊人形。和歌山県指定工芸品にもなっている逸品です。唯一の御坊人形職人、田中丈助さんにお話を伺いました。とにかく、カラフルな「鯛車(たいぐるま)」です。
「この朱色をメインに使っています。なぜか知らんねんけども、豊太郎が考えて、昔から使っています。これは練り物で、桐のおがくずとのりを練り合わせて粘土状にし、型へ押し込みます。小型のものが練り物で、大きいものが張りぼてです」


絵付け作業台

 御坊人形の始まりについて伺いました。
「基礎は、明治の初め、大阪の人形職人さんに教えてもらったらしいんですよ。豊太郎とその父親の庄助が連れ立って、親戚の家具店『山幾』さんで教えてもらいました。今もそうですが、季節になると家具屋さんがひな飾りを販売します。そのころは山幾さんだけが売っていたと思うんですが、仕入れるところが大阪にしかなかったようです。当時は交通が不便で、今年は300ぐらい売れるだろうと仕入れ、もっと売れても、追加が間に合わなんだらしいんです。今やったら翌日に着きますけどね。それで、日帰りができない大阪に泊まりがけで仕入れに行っていたら、宿泊先の旅館のおかみさんに『自分で作ったらどうよ。人形師さんを紹介したるさかい』と言われ、そうすることにしたらしいんです」



一番人気の「天神さん」人形

 後継者はいるのでしょうか。
「いや。お店屋さんの方なんかが、せっかくこんなん売りかけてるんやから、絶やさんとやってもらわなかなわんて言われるんですけどね。県の係の方からも、絶やさんようにせえよと言われるんやけど。もう、そんな意欲もないし(笑)。鯛車もこれに車を付けるのがめんどいんですわ。輪が四ついる(笑)」


和歌山県の美浜町と御坊市へドライブしました。あんな歴史のある場所があり、あんな人形を作る職人さんがいらっしゃるとは、新発見の連続でした。