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味覚と歴史へ直結、春日和田山道路
この時期の雨が、秋の実りをもたらせてくれます。今回は、そんな実りの予感を味わうため、丹波へと向かうことにしました。目指すは、昨年11月に6町(柏原(かいばら)町、氷上町、青垣町、春日町、山南町、市島町)が合併して誕生した丹波市。実はここに、今年の4月、新しい道が開通しました。


   ピカピカの丹波の道           <春日インターの地図はこちら>
 

春日和田山道路

 中国自動車道から舞鶴若狭自動車道に入って北上、丹南篠山口インターを過ぎると次は春日インターです。「春日・丹波出口」の看板があり、「北近畿豊岡道」とも表示されています。そちらに進んで料金所を出て、北近畿豊岡自動車道に入りました。舗装も白線も看板もピカピカです。この北近畿豊岡自動車道は、春日から豊岡までをつなぐ国道483号で、既存国道のバイパスなどではなく、全くの新設国道です。そして、北近畿豊岡自動車道の春日から和田山までのうち、途中にある「遠阪トンネル有料道路」を除く部分を「春日和田山道路」といい、今年の4月、春日から氷上までの約7kmが開通しました。今の段階でこの区間は無料。来年の「のじぎく兵庫国体」までには、残りの範囲も片側1車線・合計2車線で開通予定です。

  が深まるばかりのお寺
 

御本尊阿弥陀如来坐像(中央)
 氷上インターを降りて10分ほど、本堂がかやぶきの「達身寺」に来ました。ここにはたくさんの仏像があり、「消えた仏師の里」といわれる丹波市氷上町の謎も伝わっているようです。ご住職の渡辺健臣(けんしん)さんにお話をお伺いしました。
「このお寺は1200年ほど前に建立されたと言われていますけど、はっきりしたことは分かりません。開山したのも、行基菩薩、法道仙人、弘法大師など、いろんな説があるんですが、証明するものが一つもないんです。今は行基開山、曹洞宗になってからは大奄清鑑(だいあんせいかん)和尚が開山となっています」

作りかけや傷んだ仏像群
 なぜ仏像が多いのでしょうか。
「何説かあります。行基が仏教を広めていくためここに仏さんを作ったという説。ここに丹波仏師がいて仏像を作っていたという工房説。よその仏さんがいろんな戦火に遭わないように達身寺に運び込んできたという客仏説。一方、明智光秀が丹波攻めの時にここが焼かれたとも言われていますが、どこからどういうふうに攻められたかなどは分かっていません」

 収蔵庫が二つあり、真ん中の収蔵庫には、作りかけか壊れかけのような仏像が並んでいました。
「それが工房説の証明とも言えます。『消えた仏師の里』と言われ、たくさんの仏師がどこへ行ったのか、また本当に仏師がいたのかすら分からなくなっていますが、仏さんがたくさんおられ、未完成の仏さんがあるという点で、ここが仏師の修行場だったのではなかろうかと言われています」


独特な“達身寺様式”
 奥の収蔵庫の十一面観音は、片腰だけを上げ、お腹が出ている独特の姿です。
「腰をひねっているのは古い時代の仏さんと言われていますが、腰をひねってお腹が出て、ちょっと首を傾げている理由は分からない。最近では『達身寺様式』とも言われるようになりました」

  謎は深まるばかりですが、この辺りは自然も豊かです。
「カタクリの群生地が、この村の下の方にあって、4月初旬にはたくさんの花が咲く、関西でも珍しい場所です。秋にはコスモスも咲きます。春日和田山道路を利用して、お気軽に来ていただければと思いますね」

  
   丹波 曹洞宗 達身寺
  ■拝観時間/9:00〜16:00
  ■拝観料/300円
  ■TEL /0795-82-0762