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大阪と奈良をつなぐ二つの峠物語
今回は峠を二つ越すことにしました。どちらも大阪と奈良を結ぶ道として、昔からよく使われた道にあります。その道は、今、非常に重要な幹線道路として使われている道路の元の道でもあります。そんな峠をじっくり越えてみると、いろんな表情が見えてくるのではないでしょうか。


   大阪に残る石畳の峠          <暗峠の地図はこちら>
 

暗峠

 大阪から国道308号を東へ。緑が奇麗な生駒山に向かって走っていると、途中から道が細い急坂になり、ハイキングコースのような表示もあって、車が通れる状態とは思えないほどになりました。到着したのは、大阪府東大阪市と奈良県生駒市の境界にある暗(くらがり)峠。30mほど前から石畳になり、いかにも街道沿いという感じの建物があります。 この国道308号は「暗越(くらがりごえ)奈良街道」という道でした。大阪と奈良を結ぶ道は他にも何本がありましたが、暗越は最短の八里八町(約34km)で結んでいました。ただ、標高が455mもあるため、天皇行幸には使われず、いわば庶民の道だったようです。とくに江戸時代からよく使われ、脇街道だったのに本陣が置かれるほどでした。1801年の「河内名所図会」にも、20軒近くの茶店や旅籠(はたご)があるなど、にぎわっていた様子が描かれています。暗越奈良街道は、国土交通省の「日本の道100選」にも選定されています。

  峠を見守る石仏たち
 

西畑の石仏群
     
 峠を越えて奈良県生駒市に入ると、大阪側と比べて勾配が緩やかになり、棚田の風景が広がります。お地蔵さんや碑がある街道を下ってくると、石灯ろうと石仏群がありました。お地蔵さんが低いところにあり、灯ろうが3基並び、碑があり、右上の大きな岩の上にさらに3体の石仏が並んでいます。役行者(えんのぎょうじゃ)を祭ったような石仏で、時代も室町時代ではないかといわれていますが、はっきりしないようです。

  暗峠に石仏が多いわけ
 
石佛寺本尊
   
 暗峠から2km下ると、「石佛寺」がありました。名の通り石仏が祭られているお寺のようですが、お寺と暗峠について、住職の閼伽井保樹(あかいほうじゅ)さんにお伺いしました。本堂には大きな石の阿弥陀さんが祭られています。
「鎌倉時代に出来た阿弥陀さんで、お寺が出来たのも大体同じ時期かと思います。詳しくは定かでなく、阿弥陀さんの光背の右側に、永仁2(1294)年丙午(ひのえうま)2月15日と刻んであります」

石佛寺にある五輪塔
おそらく誰かの墓であろうとのこと
 
 暗越奈良街道について伺いました。
「昔は『お伊勢街道』ともいわれ、大阪の玉造にある神社から、枚岡公園のところを登って暗を越え、ここから南生駒駅方向へ下りて、有名なお大師さんのある榁木(むろのき)峠の前を通り、追分、砂茶屋、尼ヶ辻を越えて、奈良の三条通りに抜けるのが、お伊勢さんまでの最短コースであったようです」

 暗峠周辺に石仏がたくさんありました。
「お伊勢参りの街道なので人通りが多かったものの、道は険しく山賊も出たため、お守りのお地蔵さんがたくさん立っておられます」
 


   岩生山 石佛寺
 
 ■拝観/住職不在時以外は
       本堂を開けての拝観が可能
 ■TEL /0743-77-8474